「うつ」のリスク、仮設住宅で3.8倍 集団移転などで軽減(日本老年学的評価研究)

2024年0308 福祉新聞編集部

震災後、仮設住宅に転居するのと、自宅でそのまま暮らす場合に比べて、うつのリスクが3・8倍あることが、日本老年学的評価研究(JAGES)の調査で分かった。

 

災害でやむを得ない事情による強制転居で生活環境も変わるため、リスクが高くなったとされる。一方で、転居によってグループ活動(ボランティアや健康づくりなど)への参加状況が変化した人は、そのうつリスクが4割も減ることが分かった。

 

グループ活動への参加状況の変化は、活動の開始と中止も含む。一般的に活動に参加しなくなると外部とのつながりが薄れリスクも高まるとされる。しかし、仮設住宅に集団転居したことや、敷地内に集会所が設置されていたことのほか、社会福祉協議会などが運営する地域支え合いセンターによる訪問、見守り活動などにより、活動に参加していなくても人とのつながりを失うことなく、転居ストレスを軽減できたとされる。

 

分析は2013年調査と、熊本地震7カ月後に被災地の御船町で16年調査に参加した65歳以上の828人を対象とし、震災後の転居が精神的健康に与える影響などを調べた。