能登半島地震から1カ月 珠洲、輪島市の保育施設で一時預かりを再開

2024年0205 福祉新聞編集部
一時預かりが再開し、お絵描きを楽しむこどもたち=珠洲市提供

甚大な被害をもたらした能登半島地震の発生から1カ月が過ぎた。すべての保育施設が休園を余儀なくされている珠洲、輪島両市では依然、保育再開の見通しは立っていないが、園児の一時預かりが再開するなど日常生活を取り戻す動きが一歩ずつ進んでいる。

 

両市ではそれぞれ1施設で一時預かりを再開。市内の保育施設に通う園児らを対象に平日の午前8時15分から午後5時半まで無料で預かる。延長や土日祝日は行わない。輪島市は一時預かりを実施する施設を1月31日から2カ所増やした。

 

珠洲市内にある保育施設は市立認定こども園3園(利用園児計253人)。このうち、市中心部にある「つばき保育園」(加護清美園長)に3園の職員を集めて1月18日から一時預かりをスタートさせた。利用者は増加傾向で、29日は72人のこどもが利用した。

 

昼食は保護者が持参。1月29日現在、断水が続いているため、トイレは簡易トイレなどを使う。汚れた園児の服は洗濯できないため、支援物資で届けられたこども服に着替えさせている。こどもたちは落ち着いた様子で、保護者からは「仕事が始まっているので助かる」など感謝の声が寄せられたという。

 

園児を明るく迎える保育教諭だが、多くは避難所から通い、親族を亡くした職員もいる。加護園長は「こどもたちの安心、安全に向けて職員は精いっぱい向き合っている。地域のみんなと一歩ずつ進んでいきたい」と話した。

保育関連4団体 被災支援共同で

未曾有の災害を受け、石川県内の保育関連4団体(県社会福祉協議会保育部会、日本保育協会県支部、県認定こども園協会、県私立保育園連盟)は団体の垣根を越え、一致団結。「オールこども石川」と銘打ち、被災地の保育施設や被災した子育て家庭に向けた支援を共同で実施していく。第1弾として支援金と物資を募り、1月24日現在、支援金1868万円と、160件の物資が寄せられた。

 

今後について、オールこども石川事務局は「被災地の保育施設や避難している子育て家庭のニーズに応じ、保育人材の応援派遣や、こどもの笑顔につながるイベントの開催などさまざまな支援の在り方を模索していく」としている。