東京都が乳児院の体制強化 夜間の複数人配置を支援
2026年08月10日 福祉新聞編集部
東京都内で乳幼児の一時保護委託が増える中、都は今年度、委託先となる乳児院の体制強化支援に乗り出した。日中と比べ職員が手薄になる夜間に複数人の職員配置が組めるよう、職員の増員を支援。呼吸確認や数時間ごとの授乳など、より細やかな対応が必要な0歳児で特に一時保護委託が増えており、夜間の職員配置を充実させ確実な受け入れにつなげたい考えだ。
新規措置上回る
児童虐待の増加を背景に、東京都内で乳幼児の一時保護が年々増えている。都内の11乳児院で構成する東京都社会福祉協議会・乳児部会のデータによると、0~2歳児の対応が難しい児童相談所が都内乳児院に一時保護を委託するケースは2020年度から毎年増え、22年度には新規措置入所の件数を上回っている。24年度で一時保護の受け入れ件数は10年前のおよそ3倍となる398件、新規措置入所は257件だった。
乳児院で生活するこどもの入所期間は短期化が顕著になっており、24年度に退所したこどもの約8割が3カ月未満の入所だった。
職員1人で対応
こうした現状により、個々のこどもの特性、健康状態を把握するための労力や関係機関との調整業務は増え、職員が手薄な夜間で特に一時保護への対応が厳しくなっている。都によると、施設やこどもの年齢によって異なるが、夜間はこども10人前後に対し職員1人で対応している施設が多いという。
乳児部会はかねてより夜間体制の強化を都に求めてきた。都は賛育会病院(墨田区)で内密出産、ベビーバスケットが始まったことなども踏まえ、乳児院の受け入れ体制強化が必要だと判断した。
児相を設置する特別区と連携し、一時保護の確実な受け入れを条件に6施設に対し、最低一つの生活単位で夜間、常時複数人配置が実現できるよう支援。国の最低基準や加配措置を踏まえ、「常勤4人分」の人件費を補助する。4人は新規採用でも、法人独自で既に雇っている加配職員でもどちらも対象とする。
安心感、職員の負担減も期待
愛恵会乳児院(黒田邦夫統括施設長、町田市)では1ユニット当たり4~6人定員でおよそ50人の乳幼児が暮らす。一時保護の受け入れは、委託依頼があった乳幼児の年齢、健康状態(感染症やアレルギーなど)や、その日の施設の稼働状況などを踏まえ判断し、断るケースも少なくないという。
夜間は乳児12人に対し職員2人が対応し、幼児は12人に対し職員1人を配置するなど計6人が夜勤に当たる。都の補助金は法人独自で加配している職員の人件費に充て、これで浮いた経費を活用して追加の職員採用を行い、夜間をもう1人増やしたい考えだ。幼児ユニット「そらホーム」のリーダー木内郁子さんは「夜間にもう一人増えれば安心感が違うと思う。より手厚い対応ができる」と期待を込める。
乳児部会の副部会長で、同様に都の支援を受ける聖オディリアホーム乳児院(中野区)の鎌倉道子施設長は「夜勤に当たる職員の負担軽減につながり、介護や子育て中の職員の離職防止も期待できる」と評価。一方、「どの施設でも採用活動が厳しく、一時保護に関連する事務作業も増大している。一時保護が増え続ける中、こうした課題への支援もあると助かる」と話している。

