公立の保育士が1年間の長期研修 民間でインクルーシブ学ぶ〈山形・上山市〉
2026年06月03日 福祉新聞編集部
山形県上山市立保育所の保育士2人が県外の民間保育所で長期研修に臨んでいる。保育と児童発達支援を一体的に運営する茨城県つくば市と、福島県郡山市の2施設で来年3月までの1年間、障害の有無などにかかわらず一緒に育ち合う「インクルーシブ保育」の実践について学ぶ。
上山市によると、公立保育所(2カ所)で働く保育士から「インクルーシブ保育が必要」との声が近年上がっており、市長らが昨年先駆的に取り組む複数の保育施設を視察。これが契機となり、保育施設を中心に全国で158施設を運営する社会福祉法人どろんこ会(東京都渋谷区)と昨年12月、インクルーシブ保育などを進めるための連携協定を締結。これに基づく人材交流の一環として長期研修が実現した。
同会のインクルーシブ保育は異年齢保育に加え、同じ建物内で保育所と児童発達支援事業所を運営している施設では、壁やパーティションによる区切りはなく、こどもは混ざり合いながら過ごし、職員も種別を超えて対応しているのが特徴だ。個別支援計画も保育と児童発達支援双方の職員が連携して作成する。
こうした施設は27施設あり、このうち香取台どろんこ保育園(茨城県つくば市)と八山田どろんこ保育園(福島県郡山市)で4月から長期研修を受け入れた。香取台どろんこ保育園では、上山市立保育所で15年以上勤務する髙橋由紀さんが1年間常駐する。
教育大在学中に夜間保育所でアルバイトをした経験や障害児教育の授業に感銘を受けたことがきっかけで、小学校の講師から保育の道へ進んだ髙橋さん。「インクルーシブ保育の実践を学びたい」と今回の研修に志願した。
どろんこ会の保育士らと一緒になって日々こどもたちと向き合っている。同会では自然体験を通じてこどもが自発的に考え活動することにも力を入れており、「安全は大前提だが、こどもたちの遊びや挑戦に過度に干渉せず、育ちを後押しできる見守りの視点を深めたい」と意気込む。
同園の篠﨑理恵園長は「(インクルーシブ保育の)実施体制のありのままを体験してもらう。今後、本人の希望を踏まえた研修カリキュラムを組む予定だが、運営側の視点も学んでもらい、インクルーシブ保育の理解を深め(上山市での)実践につなげていってほしい」と期待を込めた。
同市子ども子育て課によると、研修のほか、市内公立園の全保育士と同会保育士による意見交換なども通じ、インクルーシブ保育の方策を見極めたいという。

