医療保険、金融所得の勘案を検討 応能負担徹底へ〈厚労省〉
2025年11月23日 福祉新聞編集部
厚生労働省は13日、医療保険料の金額や医療機関の窓口で支払う自己負担の割合について、被保険者の金融所得を勘案することを社会保障審議会医療保険部会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)で議論した。
給与や年金収入が低くても株式の配当など、金融所得の多い人は負担能力もあるとして、より高い負担を求めたい考えだ。特に高齢者にはそうした人が少なくないとみており、介護保険にもこの検討が及ぶ。
現役世代の負担を減らし高齢者にも応分の負担を求めるという文脈で語られるが、部会では「現役世代についても金融所得を勘案すべきだ」という意見も挙がった。
国民健康保険や後期高齢者医療制度、会社員と公務員を除く介護保険では、市区町村が把握する課税所得を基に保険料を算定している。金融所得は確定申告をしなければ保険料に反映されず、同じ所得でも保険料に差が生じている。
これが不公平だとする指摘はこれまでも繰り返し浮上したが、個人の金融所得をどのように把握するかという実務上の課題がネックになっている。
これを解決するため、厚労省は金融機関が国税庁に提出する情報の活用を軸に検討する構えだが、賃金を基に保険料を労使折半する健康保険の場合は特にハードルが高いとみられている。
自民党と日本維新の会が10月20日に交わした連立政権合意書に「金融所得の反映など応能負担の徹底」を盛り込んだことを受け、社保審の部会でも年末に向けて急ピッチで検討が進む見通しだ。

