障害年金統計を問題視 民間研究会「不支給少なく算定」
2025年10月28日 福祉新聞編集部
弁護士、社会保険労務士ら約150人でつくる障害年金法研究会(代表=橋本宏子神奈川大名誉教授)は、2024年度に障害年金の不支給事案が増加した問題に関連し、実際よりも不支給事案が少なくなる統計処理が行われているとして問題視している。
障害年金の請求は2通りある。「障害認定日請求」では制度を知らずに請求していなかった場合などに過去5年分も請求できる。「事後重症請求」では障害認定日後に状態が悪化して支給に該当するようになった場合に請求できる。
研究会が問題として指摘しているのは、両方を同時に請求した際、障害認定日請求が不支給でも、事後重症請求が支給であれば支給事案とカウントされ、不支給事案がなかったように扱われていること。両方を別々に請求し、いずれも不支給とされた際は、2件の不支給事案とカウントとされることを踏まえると、「カウントの仕方が不整合であり、統計手法として誤っている」としている。
この点を17日の厚生労働省との面談でただすと「19年からこの集計を行っており、変えることは考えていない」という趣旨の回答があったという。
障害年金の判定で恣し意い的な審査があったとの指摘を受け、厚労省は現在、24年度のすべての不支給事案について点検している。研究会は面談で点検に関することも質問し、障害年金の請求を受けて職員が記載する事前確認票の等級案欄については、精神障害のみならず、すべての障害で廃止するとの回答があったという。

