DWAT派遣72時間以内に調整 災害時の新ガイドライン〈厚労省〉

2025年0712 福祉新聞編集部

厚生労働省は6月24日、災害時の福祉支援体制に関するガイドラインを改正した。災害が発生した際に、高齢者や障害者らを支援する災害派遣福祉チーム(DWAT)について、都道府県は72時間以内に初動チームの派遣調整をするよう規定。活動場所は一般避難所だけでなく、在宅や車中泊にも広げた。厚労省は全国の社会福祉法人に対し、都道府県などに設置するネットワークへの協力を求めている。

今年5月末に成立した災害救助法などの改正法は、国が費用を負担する救助の種類に「福祉サービスの提供」を位置付けたのが柱。従来の避難所を中心とした「場所の支援」から、在宅避難者も含めた「人の支援」に転換した。また、災害時に活動するボランティア団体を事前に登録する制度も創設する。

2年ぶりに改正した新たなガイドラインは、災害直後のDWAT派遣について、72時間以内に初動チームを調整するよう初めて明記。活動の場所は、これまで一般避難所だけだったが、在宅や車中泊などにも広げた。

DWATの活動内容については、要配慮者のアセスメントや相談支援などに加えて、新たに要配慮者の情報収集を盛り込んだ。巡回を通じて観察が必要な要配慮者がいるかを把握。個人情報を取得する際は、ほかの支援者に共有することへの同意を得るよう求めている。

また、これまでの災害支援では、多くの支援者が要配慮者に同じ質問を繰り返すことで、本人の負担となっているとの指摘もあった。そのため、支援者間で事前に情報を共有することや、一緒にアセスメントを行うことを検討することなどを定めている。

一方、平時の活動については、災害福祉支援ネットワークに参画する団体からDWATの参加者を募り、登録者名簿を整理。その上で社会福祉士や介護福祉士などバランスに配慮した4~6人のチームを複数編成し、1チーム5日を目安に派遣期間も決めておく。

また、新たにDWATの登録者に、自治体や福祉施設を退職した職員を検討することを明記。費用についても、事前に旅費や宿泊費だけでなく、人件費などの負担も検討することを求めている。

このほか、災害福祉支援ネットワークの事務局については、従来通り都道府県または県社会福祉協議会などに設置すると規定した。構成員には福祉施設団体や福祉職能団体、民生委員児童委員協議会のほか、災害時に活動する「被災者援護協力団体」も新たに例に挙げた。

現在、災害福祉支援ネットワークの事務局は全都道府県で設置されており、4分の3は社協が関わっている。

厚労省社会・援護局福祉基盤課は「特に社会福祉法人には地域における公益的な取り組みの一環として、DWATへの参加も含めネットワークへ積極的に協力してほしい」と話している。