需要ピーク見据え議論 サービス提供体制など〈厚労省介護保険部会〉
2025年05月25日 福祉新聞編集部
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実早稲田大理事)が5月19日に開かれ、2040年に向けたサービス提供体制などについて議論した。
厚労省の検討会は4月、高齢化に伴う介護需要がピークとなる40年を見据え、離島や中山間地域で介護事業者が存続できるようインセンティブを設けることなどを盛り込んだ中間報告をまとめている。
会合で厚労省は中間まとめの詳細については、介護給付費分科会で話し合うとしたものの、一定の枠組みは介護保険部会で議論すると説明。今回は人口減少の変化に応じたサービス提供体制や、介護人材確保、職場環境改善などについて意見を求めた。
全国老人福祉施設協議会の山田淳子副会長は、特別養護老人ホームへの入所基準を要介護3以上にして10年がたち、状況は大きく変わったと指摘。23年の特養稼働率は全国平均で94%だが、90%の地域もあるという。
中にはサービス付き高齢者向け住宅に転換する動きもあるとして「離島や中山間地域に限っては、要介護度3以上とする要件撤廃を求めたい」と話した。
一方、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は介護人材に関して、業務改善やチームケアのコーディネートなど中核的な役割を担う介護福祉士の重要性を強調。しかし、必要なスキルを身につけるための機会がすべての介護福祉士にあるわけではないと指摘し、「育成と確保の方策が喫緊の課題」と述べた。
このほか、浴風会認知症介護研究・研修東京センターの粟田主一センター長は、実践者研修やリーダー研修などを行う中、他機関との連携がない点を疑問視。「今後の人材育成はさまざまな専門職機関と協調して、キャリアパスを明確化することが必要」と語った。