中山間地域の介護事業者にインセンティブ提案〈厚労省〉

2025年0412 福祉新聞編集部

厚生労働省は4月7日、2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会を開き、中間取りまとめ案を提出した。高齢者人口が減る中山間地域で介護事業者が存続できるよう、インセンティブを設けることを提案。介護人材の確保が難しい中で、配置基準を弾力化することも盛り込んだ。

検討会は今年1月から、高齢化に伴う介護サービス需要がピークとなる40年に向けた支援体制について議論。すでに需要が減少している「中山間地域」、40年以降も需要が増加する「都市部」、そのほかの「一般市など」という3類型に分けて話し合った。

取りまとめ案は、中山間地域でサービスを維持するため▽存続できるインセンティブを設ける▽介護事業所を多機能化する▽介護事業者間で連携し、業務を効率化する――ことなどが必要だとした。

具体的には、地域で中核的な事業者に対し、地域に残り続けることや、ほかの事業者と協働化することなど一定の条件を満たせば、配置基準を弾力化することや、インセンティブを付与することなど新たな枠組みを検討することを挙げた。

また、介護人材の確保も難しいことから、専従要件や夜勤などさまざまな配置基準を弾力化することを提案。訪問介護と通所介護など複数の事業所で人材をシェアする仕組みなどを紹介した。

施設整備についても盛り込んでいる。現行制度では、介護保険施設の一部で障害福祉サービスや保育などを行うと目的外になるため、補助金を返還する必要がある。これに柔軟な対応を求める声があったことから、今後はほかの福祉サービスも含めて引き続き検討会で議論する方針を示した。

このほか、大都市部については、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)技術も活用して、訪問や通所などを組み合わせるサービス提供について検討することが盛り込まれた。

取りまとめ案は、大筋で合意し、座長一任で終了。今後は社会保障審議会介護保険部会などで制度改正に向けた議論を進める。検討会は引き続き、障害やこども分野の共通課題について議論する。

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