就労選択支援、障害者本人の希望重視 セルプ協が10月施行前に情報共有

2025年0311 福祉新聞編集部
叶会長

障害者就労支援事業所などで構成する全国社会就労センター協議会(叶義文会長、セルプ協)と日本セルプセンター(髙江智和理会長)の共催による「全国社会就労センター長研修会」が2月27、28日、東京都江東区の有明セントラルタワーで開かれ、約230人が参加した。

初日に基調報告した叶会長は10月に施行される新サービス「就労選択支援」(希望や適性に合った就労先を選べるよう支援する)に言及し、「障害者がどういう働き方をしたいか、より良い選択ができるよう充実させてほしい。一般就労への誘導になってはならない」と指摘した。また、障害者雇用代行ビジネスの台頭や、営利目的と思われる事業所の参入がある中、「モラルハザードを防ぐ提案を考える必要がある」と述べた。

障害者権利条約に関する国連権利委員会の日本に対する総括所見で、福祉的就労に否定的な見解が示されていることに対しては、「就労継続支援A、B型を廃止したら約45万人の障害者はどこに行くのか」と懸念を示し、セルプ協として総括所見への対応を検討していくとした。財務省が提示している障害福祉サービス費抑制に向けた改革についても、現場の意見をまとめて訴えていく考えを示した。

厚生労働省の行政説明では、横田雄介障害保健福祉部障害福祉課長補佐が就労選択支援について「事業所が就労先を決めるのではなく、本人の希望や適性に合った選択を支援するのが目的」と強調。10月から原則、利用対象になるのはB型の新規利用希望者であることや、就労選択支援員の養成研修は6月ごろに始まることなどを説明。3月末までに厚労省のウェブサイトに就労選択支援のページを設ける準備をしていることも紹介した。

研修会ではほかにインクルーシブな福祉的就労を考えるシンポジウムや、分科会なども行われた。