高額療養費、患者負担増を一部修正 厚労大臣が面会し表明
2025年02月22日 福祉新聞編集部
福岡資麿厚生労働相は14日、がん患者団体などと面会し、高額な医療費の患者負担を月ごとに抑える「高額療養費制度」について、一部修正した見直し案を伝えた。長期療養者の負担を軽減する「多数回該当」については患者が負担する限度額を引き上げず、現状のまま据え置く。それ以外の見直し案は予定通り進める意向だ。
福岡大臣は面会後の会見で「特に長期にわたって療養を続けられている人たちが、今回の見直しに対して大変不安を感じていることは事実であり、そうした人たちの思いに最大限寄り添う必要があると判断した」と述べた。
政府は昨年12月、高額療養費制度の患者負担の限度額を2025年8月から段階的に引き上げる見直し案を公表。「多数回該当」は直近12カ月の間に3回以上、この限度額を超えた場合は、4回目以降の患者負担の限度額を引き下げる仕組みで、これも見直しの対象だった。
長期療養が必要ながん患者らは、この見直し案では負担が急増すると反発。再考を迫られた厚労省は患者団体の意見を直接聞き、「多数回該当」については限度額を据え置く方針に転換した。
高額療養費制度は、入院などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じて上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組み。21年の高額療養費の支給件数は6198万件、支給額は2兆8500億円。
昨年12月に見直し案
厚労省は、医療費全体の伸びを上回るペースで支給額が伸びており、特に現役世代の保険料負担が重くなることを避けたいとして昨年12月に見直し案をまとめた。その通りに進めば、支給額は最終的に年間5000億円減らせると見込んでいた。