福祉避難所設置進まず 輪島市、26カ所中7カ所が開設

2024年0121 福祉新聞編集部
福祉避難所の利用者を気遣う浦見さん(右)

能登半島地震による住宅被害の全容がいまだつかめない輪島市で7カ所の福祉避難所が開設されている(15日時点)。市と協定を結んでいる福祉避難所は26カ所あるが、市の担当者は「事業所も断水などの被害を受けており、受け入れられる状態にない」と言う。

 

社会福祉法人佛子園が市役所2階で運営している、障害者が働くカフェは福祉避難所となり、グループホームや地域で暮らす障害者、サービス付き高齢者向け住宅の高齢者ら計25人が身を寄せている。

 

同法人の浦見益美さんは地震発生時に利用者5人とグループホームにいた。数回大きな揺れがあった後、津波避難のため高台の施設に行こうとしたが、利用者の1人が外に出るのをかたくなに拒み、焦りが募ったという。

 

その後、朝市での火災が迫ってきたため市役所に避難。すでに多くの市民が逃げてきており、カフェにも大勢いて混乱していた。市役所は自家発電で電気は通っていたが、十分な暖を取れずに寒さと不安の中で元日の夜を過ごした。

 

カフェの福祉避難所には早い段階で法人本部から物資が届き、個々のプライバシーに配慮してゾーニングを行い、段ボールベッドを設置したり、グループホームから布団も持ってきたりした。避難所の両サイドに職員スペースを設けて目が行き届くようにしている。

 

浦見さんは「利用者にケガがなくてよかった。ここはカフェで食料もあったので、ほかの避難所に比べて恵まれていた」と話す。

 

インフルエンザを発症した避難者が出たため、体温測定、次亜塩素酸水による清掃、定期的な換気など感染症対策も行っている。