全国子どもアドボカシー協議会が発足 支援者交流会や養成講座も
2022年04月06日 福祉新聞編集部独立した立場で社会的養護の子どもの意見表明を支援する団体による「全国子どもアドボカシー協議会」が3月27日、発足した。理事長には相澤仁・大分大教授が就任し、今後、子どもアドボカシーの人材養成や政策提言などを行う。
協議会には千葉、香川、福岡など5団体と、個人の24人が参画。理事には中村みどり・CVV副代表、藤野謙一・鳥取養育研究所事務局長ら10人が就いた。
今後、協議会は子どもアドボカシー活動の支援者を対象にした交流会を開催。支援の質を高めるためのプログラムを作り、養成講座も開く。
同時に当事者による委員会も立ち上げ、アドボカシーに関する政策提言をする。また子どもに分かりやすく権利を伝えるツールも開発する。
国連は2019年、日本に対して子どもの意見表明権の確保を勧告。その後、厚生労働省の専門家会議が、児童養護施設での日常生活で不満がある際などには、「意見表明支援員」がサポートすることなどを盛り込んだ報告書をまとめている。
これを受け、今国会で厚労省は児童福祉法を改正し、権利擁護に向けた環境整備を都道府県の努力義務とする方針だ。
すでに大分では、大分大と連携してモデル事業を実施。児相や児童養護施設とも違う立場で、意見表明権を確保する仕組みを模索している。
相澤理事長の話
今後、子どもアドボカシーの活動はすべての自治体で取り組まれることになるだろう。しかし新しい仕組みなので、現場では多くの抵抗も予想される。一番の懸念は誰も子どもが利用しないシステムの形骸化だ。活動を根付かせるには、全国的に団体が連携し、情熱を結集することが必要だと判断した。
障害分野の「私たち抜きに私たちのことを決めないで」というスローガンは、児童福祉分野でも同じだ。私自身、現場経験を振り返っても子どもを対等な存在として支援できたとは言いがたい。誰でも最初から質の高い支援ができるわけではなく、ある意味子どもが支援者を許すことで成り立っているのが児童福祉。そんな現状を少しでも改善し、子どもと対等な立場で支援できる人材養成が私の最後の仕事だ。
子どもアドボカシー=子どもが意見を表明できる環境の確保や代弁など、権利を守る活動のこと。