「防災道の駅」39カ所選定 広域的な活動拠点に

2022年0303 福祉新聞編集部
防災道の駅に選定された朝霧高原

 全国に1200ある「道の駅」で、防災機能を高める動きが広がっている。国土交通省は39駅を「防災道の駅」に選定。被災者支援のほか、自衛隊や警察、消防などの広域的活動拠点として活用していく。豪雨災害や大規模地震が懸念される中、国交省は今後も全国で100カ所程度まで増やしていく方針だ。

 

 道の駅が防災の拠点として注目されたのは2004年10月の新潟県中越地震だった。全村避難になった山古志村(現長岡市)や十日町市など中山間地で孤立集落が続出。断続的な余震に襲われた被災住民らが道の駅に駆け込んだ。自衛隊も道の駅を活動拠点に炊き出しや物資を配布した。11年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震、近年の豪雨災害でも、道の駅は被災者らの生活を支えた。

 

 今回、防災道の駅に選定された岩手県遠野市の「遠野風の丘」は東日本大震災で被災した沿岸部と内陸エリアを結ぶ交通の要衝に位置している。津波の直撃を受けた沿岸部に救助・救援に向かう自衛隊やボランティア、全国から寄せられた救援物資の集積地にもなり、被災エリアを支え続けてきた。

 

 静岡県富士宮市の国道139号沿いにある「朝霧高原」(2000年開設)も防災道の駅に選定された。全体面積が約3万6000平方メートル。隣接する防災備蓄基地など周辺施設との一体化により、防災拠点施設になっている。ヘリポートのほか、給水施設、マンホールタイプの災害時対応トイレや道路事情や災害の情報提供施設も整備されている。

 

 選定の新制度では、最大5年間施設の耐震化や非常用電源の設置にかかる費用を交付金などで重点的に支援する。

 

 内閣府は昨年12月21日、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震で約20万人が死亡するという被害想定を発表した。豪雨災害の多発、南海トラフ地震の発生も懸念される中、今後は高い防災対応力を備えた防災道の駅の役割が重要になっていきそうだ。

 

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