児童養護の子に「美容の夢」 美容週間振興協議会が支援
2026年09月27日 福祉新聞編集部
社会福祉法人東京家庭学校や大阪水上隣保館が運営する児童養護施設のこどもたちが今夏、美容師の魅力や美容専門学校について知る職業体験イベント「SPROUT(スプラウト)」に参加した。美容師、美容ディーラー、美容メーカーでつくるNPO法人美容週間振興協議会(会員数約700法人)の企画だ。イベントを機に関係を深めた阪南福祉事業会(大阪)では、美容師を目指す卒園生が出るなど、こどもたちの自立への芽生えが広がりを見せている。
8月18日、東京都港区で「東京地区スプラウト」が開かれた。今回で3回目。児童養護施設「東京家庭学校」に毎月ボランティアカットを行っているヘアサロン「Lond」の美容師、石田吉信さんらの呼び掛けで始まった。
東京家庭学校や母子生活支援施設などのこどもたち計11人が参加して、カット用ウィッグを使ったブリーチ(脱色)のホイルワーク(アルミホイルを使って髪を部分的にすくい、他の部分と違う色にする技術)などを体験した。
ボランティア参加した9人の理美容師から指導を受け、こどもたちは刷毛でインナーカラーやハイライトを自由にデザイン。時間の経過とともに変わる髪色を楽しんだ。
また、進路相談コーナーでは、渋谷美容専門学校の住田知之校長が美容業界の現状や、学校で学べる内容を、ユーモアを交えて講演。参加したこどもからは「難しかったけれど楽しかった」「将来は美容師になりたい」といった声が上がった。
東京家庭学校の松田雄年校長は「本物の仕事を体験できる貴重な機会。持ち帰ったウィッグを大切に飾っている子もおり、忘れられない時間になったはず」と話した。
広がる支援の輪
活動は東京にとどまらず、昨年は東海地区、今年は阪神地区でも企画が進む。同協議会実行委員長の美容師、黒木利光さんらが大阪府島本町の大阪水上隣保館が運営する児童養護施設「遥学園」でボランティアカットを行っていた縁から、7月27日には大阪、兵庫の美容師とネイリスト10人が遥学園を訪問。カット、ヘアアレンジ、ネイルの体験会を開いた。
就職支援にも発展
阪神地区で最初にスプラウトが実施されたのは2024年10月。社会福祉法人阪南福祉事業会が運営する3施設(岸和田学園、あおぞら、あんだんて)から12人の中高生が参加した。
阪南福祉事業会はイベントで出会った美容師の市場朱実さんに、毎夏開催する「にじいろ〝夢〟コンサート」のヘアメーク協力を依頼。25年は会員らに呼び掛けて約10人の美容師や美容学生が、100人以上のこどもたちの舞台メークを手掛けた。
この交流を通じて進路相談を行い、市場さんのサロンに就職を決めた施設卒園生も出ている。8月29日の同コンサートのステージ「西遊記」からは、美容週間振興協議会の正式協力イベントとなり、出演児童のヘアメークなどを担当した。
将来の可能性広げたい
スプラウト(芽生え)には、小さな芽を大きく育てたいという思いが込められている。創案者で協議会SDGs委員会委員長を務める石田さんは「社会的支援が必要なこどもたちは数多くいる。美容の力で楽しい時間を過ごし、将来の可能性を広げるきっかけになれば」と話している。

