厚労省概算要求、1.8%増の33兆7275億円 社会保障費の自然増4800億円

2023年0904 福祉新聞編集部

 厚生労働省は8月25日、2024年度予算の概算要求を公表した。一般会計総額は23年度当初予算比1・8%増の33兆7275億円。高齢化による社会保障費の自然増は4800億円を見込んだ。24年4月の介護報酬、障害福祉報酬の改定に伴う経費や物価高への対応は金額を示さない「事項要求」とした。年末に固まる最終的な予算額はさらに膨らむ見通しだ。

 

 自然増の内訳は年金が900億円、医療が2200億円。これらと比べると、介護は800億円、障害福祉は800億円、その他福祉は50億円で金額は小さく見えるが伸び幅は大きい。

女性活躍2181億円

 今までにない示し方をしたのは「女性の活躍促進」だ。女性が働きながら健康を維持するための医療、労働、福祉の各分野の関連予算を足して2181億円だとアピールした。「分野横断的にパッケージでやるんだと打ち出したい」(会計課)と意気込む。

 

 その一つとして、更年期障害や摂食障害など女性に多い病気や、不妊症治療の司令塔となる機能を国立成育医療研究センター(東京)に持たせるため、新たに25億円を計上した。

 

 女性の健康をめぐるデータ収集や研究開発、情報発信などを同センターが担う。政府が6月にまとめた少子化対策にもこの司令塔機能を位置付けた。

 

 24年4月に施行される「困難な問題を抱える女性支援法」の関連では、女性自立支援施設(現在の婦人保護施設)への入所に至らない人を通所によってケアするモデル事業を始める。

 

 性的な被害などにより心身の健康を害した女性が自宅などから通い、心理療法を受けたり施設での生活体験をしたりする。1施設当たりの補助額は年間560万円。定員割れの続く施設の機能を活用し支援対象を広げることにしている。

 

 「女性活躍という政策の中で婦人保護施設が入るのは初めて」(社会・援護局女性支援室)で、新法施行に弾みをつけたい考えだ。

こども家庭庁1.6%増

 こども家庭庁は特別会計を含め、23年度比781億円(1・6%)増の4兆8885億円を計上。児童手当拡充分など今後3年間で集中的に取り組む少子化対策「加速化プラン」は金額を明示しない「事項要求」とし、年末の予算編成で協議する。

 

 社会的養護やひとり親家庭、障害児支援の関連予算は253億円(3・2%)増の8150億円。伸び幅は庁全体よりも大きい。

 

 24年4月の改正児童福祉法の施行に関連し、こども家庭支援センターの設置、親子関係の再構築支援、社会的養護経験者の自立支援などを拡充する。

 

 障害児関連は児童発達支援センターの機能強化、医療的ケア児支援センターの設置やコーディネーターの配置を促す。

 

福祉新聞の購読はこちら