感染者減るも相談増 コロナ禍の困窮者支援(東京・町田)

2022年0622 福祉新聞編集部
コロナ相談会には多くの人が訪れた

 「新規感染者は減少傾向」(6月8日の厚生労働省専門家会合)とされる新型コロナ禍。その一方、困窮者を対象にした相談会などへの来場者はこれまで以上に多く、関係者は「なぜか分からない」とクビをひねっている。

 

 5月28日、JR町田駅そばの町田ターミナルプラザ市民広場(東京都町田市)。午前11時の開始とともに、「多摩地域コロナ困りごと相談会@まちだ」(実行委主催、町田市・市社会福祉協議会後援)に高齢者ら約20人が列をつくった。生活、労働、法律、女性問題と分かれたブースで弁護士らが無料で対応。実行委事務局の「生活困窮者支援りぼん」(町田市)メンバーの大阪公立大大学院生(電話相談担当)やサービスラーニングを研究中の国際基督教大生、地元町田市にある法政大現代福祉学部の学生計十数人も案内や食料・化粧品などの配布に協力した。

 

 4時間で来場者は111人、電話相談が8件だった。相談会は9回目。1日としては今回が最多という。地元の社会福祉士会スタッフが事前にチラシを配ったり、最近の物価高も重なっているとみられるが、実行委事務局「りぼん」の田中のり子代表は「予想外の数にびっくりした。生活保護の基準にも満たない低収入で暮らし、借金に至る寸前までやせ我慢の生活をしている人が多いと感じた」と話している。

 

 この日、東京都豊島区の東池袋中央公園でも路上生活者を支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が無料の弁当を配布。過去最多の521人が受け取った。2003年の発足前後から活動しているが、500人を超えたのは初めてという。清野賢司事務局長は「昨年の後半から400人以上の日があり、増加傾向だった。コロナ禍で失業しているのか若い人も目立つ。3月に東京のまん延防止等重点措置は終わっており、なぜこんなに増えたのか分からない。家のある人も何人かいて、食費を節約していることも考えられる」と述べた。

 

 多摩地区で相談会を進める府中緊急派遣村(府中市)の松野哲二共同代表は「コロナ禍による格差はこれから表面化していくのではないか。我々のような民間団体の活動には限界があり、行政による日常的な〝開かれた相談コーナー〟が必要」とみている。

 

福祉新聞の購読はこちら