子の発達促すメソッド 異年齢、チーム保育など実践(省我会、東京)
2025年03月18日 福祉新聞編集部
都内で四つの保育所、こども園を運営する社会福祉法人省我会(藤森平司理事長)は、40年以上の経験と研究から「見守る保育・藤森メソッド」を実践している。保育所保育指針、幼稚園教育要領にのっとり、海外の教育、関連する文献なども参考に、こどもの成長と発達を促す保育の理念を五つの要点に整理したものだ。
メソッドでは「かかわりを大切にする」。集団の中で学び、社会的なスキルが育まれることから、乳児期からこども同士の関わりに重点を置く。その中で「こども主体」を重視。こども自らが考えて判断する保育を行う。例えば、外遊びか中遊びかを決めさせたり、食べられるご飯の量を聞いたりすることで、自分の意思と責任を持つようになる。トラブルがあった際も、こども同士で対話することで他人を理解する力が養われる。
一人ひとりの発達過程に応じた「個別最適な支援」も大切にする。特に異年齢保育を推進しており、年齢の違うこどもが一緒に過ごすことで多様性が身につき、上の子をまねることで発達が促進される。自然と助け合う関係も生まれてくる。
園ではクラス担任制をベースに「チーム保育」を行う。保育士1人で見ていると自分の価値観にとらわれがちだが、複数で関わることで多角的な視点でこどもを見ることができる。また「以前は1人で30人のクラスを担当し、トイレに行く時間すらなかったが、今は役割分担できる」(保育士の山下恵さん)というように、保育士の負担も軽くなる。さらに広さや遊具だけでなく、季節の変化や自然を感じられる「学びの園庭」も必要となる。
こうした確立されたメソッドに国内外から多くの視察があり、国内で実践している園は500カ所余りある。藤森理事長は「よく誤解されるが、特殊な保育をしているわけではない。こどもを徹底的に観察し、発達や関心に合わせた適切な支援を考えること」だと言う。1月には鳥取県日南町と幼児教育の充実、地域活性化事業の実施などに関する連携協定も結んでいる。