五島列島・奈留島で唯一の保育所が学校の教室に移転(長崎)
2024年04月22日 福祉新聞編集部五島列島のほぼ真ん中に位置し、人口およそ1800人の奈留島で唯一の保育所「奈留さくら保育所」(長崎県五島市奈留町)が4月、市立奈留小中学校の空き教室に移転した。1~5歳の園児13人と小中学生43人は同じ校舎で共に成長していく。
同市によると、少子化などを受け、2008年度に小中併設の学校になった。学校の空き教室を活用した保育所の整備は県内初で、全国的にも珍しいという。
同保育所を運営していた社会福祉法人が園児数の減少と人材不足により施設運営が難しくなったことで撤退し、20年度からは同市が市社会福祉協議会に業務委託して保育を実施している。園舎は撤退した社会福祉法人から無償貸与を受けていたが、昨年度末で契約が満了した。
新たな園舎を探す中、幼児期の教育と児童期の教育の円滑な接続に向けた「幼保小連携」をこれまで以上に進められることなどを理由に、奈留小中学校の空き教室に移転することを決断。幅広い年代のこどもの交流機会が増えることで思いやりの心を育むことも期待できるという。
保育所と園庭の整備におよそ4000万円を投じた。2階建て校舎の1階に保育スペース(242平方メートル)を設け、小中学生の教室は2階になる。行事などを通じて園児と生徒の交流を一層深めていくが、防犯面の配慮も徹底。園児と生徒の出入口は別で、保育所には鍵の付いたドアが設置されている。園庭は校庭の一部(608平方メートル)を活用して整備した。
同市こども未来課の担当者は「保育士と教員の連携が取りやすくなることに加え、こどもたちは環境が大きく変わることなく小学校に入学できる」と話した。