こども・若者を権利の主体に こども大綱中間整理

2023年1012 福祉新聞編集部

こども家庭庁は9月29日、こども大綱の中間整理をまとめた。こどもまんなか社会の実現に向け、こども・若者を権利の主体と位置付けた上で、ライフステージごとに重要事項を提示。社会的養護の推進や障害児支援なども盛り込まれている。

 

大綱は今後5年のこども政策の方向性を定めるもの。これまで内閣府が策定していた少子化社会対策大綱や子供の貧困対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱なども統合する。

 

中間整理は、こども施策に関する基本的な方針として(1)こどもを権利の主体として認識する(2)当事者と対話しながら考える(3)良好な成育環境を確保する――ことなど6本の柱を掲げた。

 

その上でライフステージを通した施策として、社会的養護や障害児支援、こどもの貧困対策を提示している。

 

虐待防止に向けては、相談対応件数が増加している状況を踏まえ、子育てに困難を抱える世帯への包括的な支援体制の強化を明記。訪問家事支援などを進めることで、早期支援を強化する。

 

また、社会的養護については、児童養護施設などの環境を改善することが盛り込まれた。施設退所者への多職種連携による自立支援も進める。さらに、社会的養護の経験がなくても、困難に直面している若者を支援の対象とすることが明記された。

 

障害児への支援については、地域で障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターの機能を強化。保育所などへの巡回支援も充実するなどインクルージョンを進める方針を示した。

 

貧困対策では、学校を地域に開かれたプラットフォームと位置付け、関係機関が「子ども・若者支援地域協議会」などの枠組みを活用して早期支援につなげる体制を強化する。

 

このほか、中間整理は「誕生前から幼児期」「学童期・思春期」「青年期」といったライフステージ別に重要事項を示している。

 

今後、中間整理について、こどもや若者からヒアリングを実施。年内の閣議決定に向けては施策ごとの数値目標をどう設定するかが焦点となる。