医療的ケア者の地域生活支援 外国人職員も対応〈社会福祉法人昴・埼玉〉
2026年11月06日 福祉新聞編集部
埼玉県東松山市にある社会福祉法人昴(丹羽彩文理事長)は1990年の創設時から、医療的ケアが必要な重症心身障害者が、住み慣れた地域で暮らすことを支えている。医療的ケア者の地域の受け皿が広がらない中、同法人では新卒者も外国人も職員は喀痰吸引等研修を受け、医療的ケアを行うことが当たり前の支援になっている。
創設者の方針
79年に障害児を養護学校に就学させることが義務化される中、就学の難しい医療的ケア児を障害児通園施設で受け入れたことが同法人の起源だ。
その後、医療的ケア者が地域で暮らせるよう診療所、生活介護事業所、グループホームなどサービスを広げ、現在、県内2市1町で20事業を運営している。地域にある保育所などの医療的ケア児支援をサポートする取り組みは、現在の国による障害児等療育支援事業につながった。
介護職員が医療行為(一部の喀痰吸引、経管栄養)を行うには喀痰吸引等研修を受ける必要があるが、創設時はこうした制度はなかった。佐藤進初代理事長の「親ができるケアを、プロの介護職員ができないわけがない」という方針のもとに取り組んできた。当時について西部・比企地域支援センターの秋山操さんは「親の承諾を得て、医療的ケアは当然行うものと思っていた。いろいろな場面で職員同士、確認や相談をしながら取り組んでいた」と振り返る。
外出活動が充実
生活介護事業所「ADVANCE」は1日20人弱の利用者のうち、医療的ケア者は8人いる。職員は外国人も含めて喀痰吸引等研修を受け、医療的ケアを行っている。
事業所は外出活動に力を入れており、公園や映画館などに月2回程度出掛け、毎年温泉にも行く。小学生の下校見守り隊に参加するほか、生産活動として花の寄せ植えや管理をし、法人内の就労系事業所と販売会などにも赴いている。
管理者の蝦名由美子さんは「利用者や家族が外出して嫌な思いをしないようサポートしたい。そのために医療的ケア者について知ってほしいし、発信もしている」と話す。
複数事業所で支援
医療的ケア者への支援は報酬が高いわけではないため、グループホームみらい管理者の吉田隆俊さんは安定経営に向けて「障害児サービス報酬にある医療的ケア判定スコアを障害者サービスにも採用してほしい」と注文する。一方、みらいには他法人の8事業所からヘルパーが入っており、風通しの良いグループホームを提供。「医療的ケアが必要な人も、将来の望む暮らしに夢を描ける社会になってほしい」と話す。
7月には改正医療的ケア児支援法が成立し、新たに医療的ケア者、重症心身障害者を支援対象に加え、支援のさらなる充実を目指す施策が盛り込まれた。丹羽理事長は医療的ケア者の受け皿充実に向けて「経営者の覚悟が求められる」としている。

