「偏見なくしたい」幻聴の画家、下坂さんの作品展示(横浜)

2024年1114 福祉新聞編集部
自身の作品の前で来場者と歓談する下坂さん(右端)

幻聴アーティストとして知られる画家、下坂卓也さん(38・福岡県)の作品が、11月3日まで横浜市役所1階の展示スペースで披露された。世界メンタルヘルスデー(10月10日)の関連イベントとして、市こころの健康相談センターとシルバーリボンジャパン(同市)が共催した。

メンタルヘルスへの社会的関心を高め、精神疾患への偏見をなくすことが狙い。2日に会場を訪れた下坂さんは「私のような当事者が声を発し、人とのつながりを増やすことで偏見が減っていくのでは」と語った。

大学で空間デザインを専攻し、卒業後会社勤めをしたものの、幻聴やうつに悩まされたという下坂さん。2017年、てんかん性精神障害と判明し、約2年間入退院を繰り返した。

19年に鉛筆画や油絵を描き始めたところ、国立新美術館の「蒼騎展」で入選。今年4月には、ニューヨークの繁華街「タイムズスクエア」の電光掲示板に作品が映し出されるなど脚光を浴びている。

小学生と一緒に絵を描くイベントに呼ばれたり、ユーチューブで「幻聴アーティスト」と紹介されたりと、表舞台で活躍する姿がシルバーリボンジャパン副代表の森野民子さんの目にとまり、今回の企画に至った。

7月には都内の大手IT企業に専属作家として採用され、自宅で創作に励む下坂さんは「次の目標はお互いに支え合える女性と出会い、結婚すること」と話し、絵画展の来場者と歓談した。