「技能実習」廃止を提言 政府有識者会議が新制度創設求める

2023年0417 福祉新聞編集部

外国人の技能実習と特定技能の在り方を検討している政府の有識者会議が4月10日に開かれた。中間報告のたたき台が示され、技能実習を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度を創設するよう求めた。技能実習の目的は技能移転だが、実際には日本国内の労働力として扱われ、制度目的と運用実態がかい離していた問題の解消を図る。

 

新制度の職種は現行の特定技能(介護、建設、農業など14業種)にそろえ、技能評価の在り方は引き続き議論するとした上で、外国人がキャリアアップしつつ、日本で修得した技能をさらに生かせる制度にする。

 

日本語の習得については就労開始前、来日後それぞれで能力向上に向けた取り組みを整備する。教育費は基本的に受け入れ施設が負担するよう求めた。

 

現行の技能実習では実習先施設を変更できず、人権侵害につながりかねないことが問題視されている。ただ、実習先施設を変更しない方が計画的、効率的に人材を育成できるため、変更の制限は残すものの、新制度の趣旨と外国人の保護の観点から緩和する方向で引き続き議論する。

 

技能実習の監理団体、特定技能の登録支援機関は残し、要件を厳格化するなどして監理や支援能力の向上を図る。また、外国人技能実習機構も存続し、体制を整備して活用する。

 

国内の人手不足に的確に対応するため、受け入れ見込み数(特定技能の介護は2019年から5年間で最大5万900人)の設定プロセスを透明化する。

 

有識者会議は秋に最終報告をまとめる予定。たたき台には新制度の創設時期について言及はないが、早ければ来年の通常国会に関連法案が提出される可能性もある。仮に新制度に移行することになっても、現行の技能実習と特定技能の受け入れに影響なく現場が混乱しないような措置がとられる。

 

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