福祉の持続性とは何か〈コラム一草一味〉
2026年11月08日 福祉新聞編集部
社会福祉法人佛子園 理事長 雄谷良成
今回の社会福祉法改正では、「地域の実情に応じた包括的な支援体制」の拡充が強く打ち出された。この一文を読み解くと、社会福祉法人に求められる役割は、制度の運営から地域全体の課題解決へと広がろうとしていることが分かる。
これまで社会福祉法人は社会保障制度の担い手として発展してきた。その役割は今後も変わることはない。しかし、制度の枠組みの中だけで福祉を考える時代は終わりつつある。福祉だけを見ていては、地域の課題は解決できない。今回の法改正は、福祉の視野を医療、教育、住まい、産業、防災など地域全体へ広げ、多様な主体と連携して支援体制を築くことを求めているのである。
福祉の持続可能性とは、財政だけを意味するものではない。制度が持続することはもちろん重要である。しかし、それだけでは十分ではない。制度は福祉を支える基盤であり、地域の期待は福祉を育てる力でもある。地域の人々から期待され、その期待が次の世代へ受け継がれていくこともまた、福祉の持続可能性を支える基盤なのである。それは今回の法改正でも課題とされる人材の確保や定着にもつながる。地域から期待される法人には人が集まり、その期待に応えようとする職員も育っていく。
企業経営にはコングロマリットという考え方がある。富士フイルムは写真フィルム市場の縮小という危機に直面しながらも、長年培った技術を化粧品や再生医療などへ展開し、社会に必要とされる企業へと構造を転換した。事業を増やしたのではなく、社会のニーズに応える構造へ転換したのである。
福祉もまた同じである。コングロマリットとは多角経営ではなく、地域の多様な課題を結び付け、地域全体の価値を高める福祉の構造論なのである。
とはいえ、地域の期待は目に見えず、時代とともに変化し、その姿は地域ごとに異なる。「地域の実情に応じた支援」を実践することは決して容易ではない。地域に期待され続ける福祉とは何か。それがなかなか悩ましい。

