重症児者の見える化、日本モデルで〈コラム一草一味〉
2026年09月09日 福祉新聞編集部
社会福祉法人旭川荘 前理事長 末光茂
「医療的ケア児支援法」の改正案が国会を通過した。児童から大人への切れ目ない支援や重症児者施策との連携の具体化などが期待される。
国際知的・発達障害学会(IASSIDD)第7回ヨーロッパ会議が7月末、ドイツのミュンヘンで開催された。世界から約500人の研究者が参集し、日本からも29人が研究発表した。
基調講演の「重症心身障害児者PIMD研究の動向」(Bea Maes教授)が注目された。
その概要は、横浜市立大の佐藤朝美教授によると「(この分野の)研究は近年大きく進展し、発達、心身のウェルビーイング、自己決定、家族の役割、専門的支援の在り方の面で理解が深まった」「PIMDの人々は、一人ひとり異なる発達の軌跡を持ち、表情や動き、発声などの非言語的な表現を通して、好みや意思、心身の状態を示している」「一方で、こうした知見が蓄積されても、PIMDの人々は政策、実践、研究の中で依然として『見えにくい存在』に置かれている」「これからの社会の在り方は、本人を独立した個人として捉えるだけでなく、家族や支援者との関係の中でその意思や生活を理解すること、本人を含めた協働的な意思決定や研究を進めること、さらには質の高い支援を可能にする人材・制度・社会的基盤を整備することが重要である」と。
まさに今回の改正で問われていることを、明確に整理し浮かび上がらせてくれている。
PIMD関連の発表は口頭とポスター合わせて例年になく多く、PIMD研究者ミーティングはいつもが15~20人のところ、約50人が参加するほどの盛況だった。
日本の歴史と到達点に関して、全国重症心身障害児者を守る会の「最も弱い者を一人も漏れなく守る」理念とその活動を支えた市民・ボランティア、専門家、行政、マスコミが連携した60年の地道な歩みが、「見える化」に果たした意義は大きいとの高い評価を得た。
今回の改正を契機に、よりインクルーシブな暮らしと尊厳の向上が実現し、世界に再び発信できる日が早いことを願う。

