生活指導教諭の養成大学を〈コラム一草一味〉

2026年0719 福祉新聞編集部

バンクミケルセン記念財団 理事長 千葉忠夫

 デンマークには2種類の教育大学がある。一つは読み書きそろばんを教える教員を養成する大学、もう一つは生活指導教諭を養成する大学だ。日本には生活指導教諭を養成する大学はなく、いずれの大学、高校を出ても、福祉施設に就職すれば生活指導員となれる。

 生活指導教諭のことをデンマークではぺダゴーと呼ぶ。語源は民主主義発祥の地ギリシャで、こどもを導く者という意味だ。このペダゴーの職種が定着しているのは、デンマークをはじめとする幸福度世界ランキング上位の北欧諸国である。

 住みよい国、幸せな国は社会福祉国家であり、民主主義を理解し、身に付けた国民が築いている。住みよい幸せな国づくりには国民教育が一番重要である。

 日本の国民教育は知的水準を上げ、学力向上に力を入れる競争原理の教育だ。人間は2本の足で立つ。一本の足には知識を身に付け、他方には情緒、自立心、社会性を身に付けることでしっかりと立ち、真っ直ぐと道を歩めるのだ。

 新聞をにぎわすのは強盗、殺人、詐欺などで、正しい道を歩めないような教育を受けているゆえんではないか。高等教育を受けた若い母親がわが子を虐待するなど、あってはならないことが頻繁に起きていることは嘆かわしい限りである。

 要するにわが国の教育は、2本の足で立てる人間教育をしていないからである。幼児の時からペダゴーにしっかりと導かれれば、三つ子の魂百までが実現し、さらには学童保育で勤務するペダゴーから知的以外の情緒的、社会的な自律心を学ぶことは国民教育に欠かせないことだと思う。

 また、障害者施設勤務職員も生活指導教諭の有資格者がなるので、津久井やまゆり園のような事件は起こり得ない。

 デンマークの生活指導教諭の教育は3年半で、最初の1年は一般共通科目を受ける。後半は(1)保育園・幼稚園勤務(2)学童保育勤務(3)社会福祉施設勤務――に専攻が分かれるが全教育期間中の3分の1は関係施設実習に重きを置いている。

 日本にも生活指導教諭養成大学の新設を望む。

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