〈犯罪白書〉精神疾患、男性の2倍 女性受刑者を特集

2025年0117 福祉新聞編集部

法務省は12月20日、2024年版の犯罪白書を公表し、女性受刑者は男性受刑者と比べて「精神疾患あり」とする人の割合が2倍超に上ることを明らかにした。慢性疾患も女性に多かった。健康を害したことで就労自立が難しく、高齢になると窃盗に手を染める傾向が浮かび上がった。

白書は「女性受刑者には心身の健康の回復や維持・増進に資する処遇・支援を充実させていく必要がある」とし、特に出所後の継続的な受診を支えること、保護観察所と医療・福祉団体との連携を重視した。

女性受刑者の出所後の再入率は男性受刑者より低いが、男性が低下傾向にある半面、女性は横ばいだ。白書は、女性は立ち直りが難しいとみて「女性犯罪者の実態と処遇」をテーマに特集を組み、特別調査を行った。

それによると、精神疾患のある人は女性受刑者が53・5%で、男性受刑者(22・6%)の2倍超だった。疾患名はうつ病、双極性障害、不安障害、依存症の順に多かった。

65歳未満の受刑者の服役前の就労状況を調べると、「無職・失業中」は女性が男性の2倍弱。働いていなかった理由に健康上の問題を挙げる女性は6割に上り、これも男性の2倍弱だった。

女性の犯罪は覚せい剤などの薬物事犯と窃盗が全体の8割を占める。特別調査で薬物事犯の男女を調べたところ、女性は男性よりも暴力を受けた人、小児期に逆境体験(親の死別や離婚など12項目)を経験した人が多いことが分かった。

窃盗犯についても調べたところ、犯行動機として「生活費に困っていた」を挙げる60歳以上の女性は、男性や60歳未満の女性よりも少なかった。将来への漠然とした不安や周囲からの孤立により犯行に及ぶ高齢女性が多いという。

特別調査は22年7月~12月に服役先を決める調査を受けた男女908人に実施した。

再犯防止白書を決定

なお、政府は同日、再犯防止推進白書を閣議決定した。犯罪から立ち直った3人(30代男性、80代女性、70代男性)の事例について、本人とその支援者の語りを収めた。