統合失調症を追体験 製薬会社がイベント「完全没入ショールーム」

2024年1020 福祉新聞編集部
Himacoさんの経験を再現したショールーム

統合失調症の患者が感じる世界観を追体験し、病気への理解を深めてもらうイベント「完全没入ショールーム100人に1人が体験する統合失調症の世界!」が、12~14日に東京タワー(港区)で開かれた。

世界精神保健連盟が定めた「世界メンタルヘルスデー」(10月10日)にちなみ、製薬会社の日本べーリンガーインゲルハイムが主催した。3日間で約3700人が入場した。

ショールームの題材を提供した統合失調症を患う作家、Himacoさん(29、和歌山県)は10日の内覧会で「この病気を自分事だと思ってほしい。もし、病気になったら、現実を見つめながら希望を持ってほしい。それが私の考えるリカバリーだ」と話した。

イベントはHimacoさんが出版したコミックエッセーを題材に、幻聴や幻覚といった「陽性症状」、気分が落ち込む「陰性症状」、集中力が低下する「認知機能障害」の三つのコーナーを設け、それぞれHimacoさんの自宅内を再現した。

部屋の正面にスクリーンを用意し、Himacoさんが22歳で発病してから経験したことを3分程度の映像で説明。Himacoさんは家族や職場が温かく受け止めてくれたとし、「世界の目が柔らかくなれば、統合失調症の当事者は絶望せずに済む」と語った。

主催者は「この病気をよく知ることが大切」と話し、このイベントで使った映像を公開することも検討している。