広域NPOで仲間づくり 互助会は孤立解消〈知多地域権利擁護支援センター、愛知〉

2026年0102 福祉新聞編集部
LINEの使い方を学ぶ喜楽会のメンバー。左から2人目が岡さん

頼れる親族がいない人の身元保証や死後事務を引き受ける団体はたくさんあるが、NPO法人知多地域権利擁護支援センター(今井友乃理事長、愛知県)が2024年10月に始めた事業はひと味違う。契約した人が孤立しないよう、仲間づくりを支える「互助会連動型」をうたっている。

同センターの「くらしあんしんサポート事業」(くらサポ)は頼れる親族がいない人と契約し、週2回の電話による安否確認や月1回の訪問による見守り、亡くなった後の火葬など死後事務を行うもの。25年12月10日現在、13人が契約している。

対象は知多半島の4市5町に住む40歳以上の人。契約能力はあるが、親族の協力が得られないこと、生活保護を受給していないことが条件だ。

喜楽会加入は必須

もう一つの大切な条件は、センターが事務局を担う終活の互助組織「喜楽会」(小嶋利明会長)に加入することだ。17年にセンターが始めた終活講座の受講生が23年10月に立ち上げた。

狙いは、いざという時に助け合える仲間をつくること。学習会や季節の行事、お菓子を楽しむ時間を組み合わせ2カ月に1回程度開く。12月はSNSアプリ「LINE」の使い方を学んだ。

25年7月にくらサポを契約した岡康義さん(82・東海市)も参加した。47歳で離婚し、現在は1人暮らし。離れて暮らすこどもとの交流はない。身体に不自由はなく、自炊もするが「将来病気になったら世話してもらえるのでは」と考え、契約に踏み切った。

お金で解決しない問題

くらサポの利用料は契約時の年齢によって異なり、月額6000~1万5700円。入院・退院時の支援は別料金だが、身元保証会社に100万円超を支払うのに比べれば低額で済む。

しかし、「安くてよかったね、で終わっては意味がない」と今井理事長は話す。サービスを受けるだけでは解決しないのが「身寄りなし問題」とみるからだ。

例えば、センターは契約者が入院したときの緊急連絡先を引き受けるが、病院に見舞いに行く仲間にはなりえない。同様に、死後事務はするが、葬儀の参列者ではない。

センターは「くらサポがカバーできない情緒的な支援を喜楽会に担ってほしい」(事務局長の金森大席だいすけさん)としている。

預託金廃止、保険契約

くらサポのこうしたコンセプトに保険会社も賛同した。25年9月、東京海上日動火災保健はセンターと契約を締結。くらサポの契約者が死亡した後、同センターが火葬や遺品整理などにかけた実費を1請求につき最大100万円補償する。

これまでセンターは死後事務費用として20万円の預託金を契約者から預かってきたが、負担が重いためこれを廃止。従来の月額利用料に1000~1万円程度上乗せする方式に改めた。

その上乗せを原資としてセンターが保険料を納める。「約定履行費用保険」というタイプの保険による試験的な取り組みだ。保険会社の担当者は「センターの志の高さが分かったので一歩踏み出せた」と話している。


知多地域権利擁護支援センター=2008年1月に発足。22年4月から現在の名称になり、4市5町(半田、常滑、東海、知多市、阿久比、東浦、南知多、美浜、武豊町。総人口約51万人)から委託を受けている。正規職員10人、非常勤43人。法人として成年後見を受任したり、成年後見関連の相談を受けたりする。

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