医療ソーシャルワーカーの指針改定へ 23年ぶり検討を開始〈厚労省〉

2025年0927 福祉新聞編集部

厚生労働省は24日、医療ソーシャルワーカー(MSW)の業務指針の改訂に向けた検討を始めた。在宅医療と介護を円滑に提供するにあたり重要な役割を担うとして、23年ぶりに見直す。

介護との連携で重責

2040年を見据えた地域医療構想について検討する「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長=野口晴子早稲田大教授)の検討事項に位置付けた。

現行の指針は介護保険制度が始まったこと、児童虐待が社会問題として注目されたこと、医療技術の高度化などを受け、02年11月に当時の健康局長の通知として出された。

指針はMSWの役割を「社会福祉の立場から患者の抱える経済的、心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る」と明記し、標準的な業務の範囲、方法を規定した。

MSWの所掌は今年度、医政局地域医療計画課に移った。同課は救急救命士も所掌し、今回のワーキンググループ(WG)の事務局も担う。

WGの委員は18人で、介護分野からは全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会(全老健)、日本介護支援専門員協会、全国介護事業者協議会の代表が入った。

委員の一人、全老健の東憲太郎会長は「MSWの業務指針改訂はぜひやってほしい」と述べた。老健施設が軽度な医療ニーズがある人を短期間受け入れ、改善したら在宅に戻す機能があることも強調した。

一方、MSWの職能団体「日本医療ソーシャルワーカー協会」(早坂由美子会長)は委員に入っていない。早坂会長は本紙の取材に「MSWの業務範囲が広がっている。それに沿うように見直してほしい」と話した。

厚労省によると、23年10月現在、MSWは約3万人。医療施設調査で、病院、一般診療所、歯科診療所に勤める社会福祉士、精神保健福祉士、医療社会事業従事者を足した数字という。

地域医療構想と関連

地域医療構想は医療資源を適正配分するための構想で、都道府県は26年度に医療提供体制全体の方向性を決める。厚労省はそのための指針を今年度中に作る方針だ。

MSWもそうした構想を描く際の重要な人的資源として位置付けられる見通しだ。従来の地域医療構想は病床の再編成を主眼としたが、新しい構想では今後、主に高齢者の需要が高まる在宅医療や介護連携を含めた提供体制を築く。

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