〈新任局長に聞く〉福祉の再構築一丸で 鹿沼均 厚労省社会・援護局長

2025年0830 福祉新聞編集部
鹿沼局長

――就任の抱負を聞かせてください。

絶対的な人口減少社会に突入している中で、地域の支え合いも少なくなってきています。各部局やこども家庭庁とも連携しながら、福祉の再構築に取り組んでいきたいと思います。

――地域共生社会の実現に向けた課題と対応は。

包括的な支援体制の整備、身寄りのない高齢者への対応、居住支援、成年後見制度の見直し、災害時の福祉的対応の強化などに加え、人口減少で地域の社会福祉法人自体のサービス提供が細っていくことが予想されます。連携推進法人のような形も重要になるでしょう。

――福祉人材の確保についてはどうでしょう。

大きな柱でもある処遇改善がなければ、他産業の賃上げに追いつかなくなります。生産性を上げる意味でもICT(情報通信技術)やロボットなどさまざまなテクノロジーも活用していかなければいけません。介護職の魅力の向上、外国人の介護人材も必要です。

中山間地域では福祉サービスの弱体化が懸念されます。サービスの質の最低限の部分を守りつつ、支援を提供できる柔軟な体制の整備が必要ではないでしょうか。例えば、福祉従事者にとって医療職の資格を取得しやすくしたり、医療従事者が福祉の資格を取得しやすくなったりといったことなども検討課題になるでしょう。

――生活保護制度についてはいかがですか。

生活保護基準そのものについては、物価・賃金の上昇に応じて考えながら進めていかなければなりません。生活保護の引き下げを違法として国の減額処分の取り消しを求めた最高裁の判決については、司法の判断を真しん摯しに受け止めて、専門家による議論を行っていきます。

生活保護受給者の国民健康保険など加入の議論については、被保険者への保険料負担や保険財政に与える影響がかなり大きく、丁寧に検討していく必要があります。

――自殺対策についてはどうでしょう。

小中高生の自殺者数が過去最多の529人(2024年)ということを重く受け止めなくてはならない。厚労省としても、若者の利用が多いSNS相談の体制充実、相談窓口の周知、都道府県におけるこども・若者の自殺危機対応チームの設置も進めながら、原因分析も行っていきます。

――社会福祉法人に対しては。

人口減少などで単一法人での存在が難しくなる可能性が懸念されます。社会福祉連携推進法人などの制度を活用することで、経営基盤の強化・人材育成など戦略的に取り組んでほしい。時代が変わっても、福祉の基盤になることは間違いありません。厚労省も共に頑張っていきたいと思います。


かぬま・ひとし 1966年生まれ。東京都出身。東大卒。1990年4月入省。

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