土曜に共同保育 法人の垣根越えて試行〈郡山市保育園協会・福島〉

2026年10月15日 福祉新聞編集部
在籍施設が違っても、一緒に元気よく遊ぶこどもたち

 保育士の負担軽減や休暇取得を進めるため、福島県郡山市の民間61保育施設でつくる「郡山市保育園協会」は今秋、園児の利用が減る土曜日などに複数の施設の園児を1カ所の施設に集めて保育する「共同保育」を試行実施した。運営法人がそれぞれ異なる4施設が3日間取り組み、同協会によると法人の垣根を越えた共同保育は全国でも珍しい。改善点を整理して、お盆や年末年始も含め会員施設に実施を促していく予定だ。

 9月19日、協会の國井隆介会長が園長を務めるエムポリアム並木保育園(学校法人エムポリアム学園、定員60人)に50人ほどの園児が集まった。いつもの土曜保育よりも2倍ほどの人数になったのは、近隣3施設の園児も預かったためだ。この日は共同保育の最終日で、参加したスギナ保育園(社会福祉法人つくし会)の鈴木友規園長は「こどもたちの順応力の高さには驚いた。異なる環境にすぐ慣れ、他施設の園児と一緒に遊び回っている」と目を細めた。

 協会によると、保育士不足が慢性化する中、平日の2~3割程度の利用にとどまる土曜保育に負担を感じる施設も多く、かねて改善策を模索していた。保育士の勤務環境改善につながるとし、国が認める「共同保育」に着目し、昨年12月同市に相談。市は、全保護者から同意を得る▽保育を依頼する施設の保育士も必ず配置する▽保護者に追加の費用負担を求めない――ことなどを規定した共同保育の指針や要領を今年4月に作成した。これを踏まえ協会は実施計画を立て、9月5、12、19日の土曜保育で試行した。

 距離が近く、各園長が同協会の会長や副会長を務める、エムポリアム並木保育園▽スギナ保育園▽のびのび学園(NPO法人郡山のびのび福祉会)▽つばさ保育園((株)セアリアス)の4施設で実施した。

 エムポリアム並木保育園に園児を集約し、1日当たり各施設の保育士3~4人の計11~13人を配置。各施設が個別に土曜保育を行う場合と比べると、1施設当たり保育士1~2人が出勤せずに済ませることができた。

 また、保育を依頼する施設の給付費は減額されないものの、受け入れる施設側には光熱費や食材費の負担が発生する。そのため、3施設は日額5800円と食事代1食300円を預け先施設に支払うことにした。けがや事故などの責任は園児の所属施設が負うことも明確化した。

 鈴木園長は「園児に悪影響はなく、保育士の負担軽減を確認することができた。保育士の有給取得や研修にも参加しやすくなり、保育の質向上につながる」と話した。

実践の違いに負担感

 一方、課題もみられた。受け入れ施設の保育内容や考え方をベースに保育が行われるため、他施設の保育士が布団をたたむ、こどもの食事に寄り添うといった対応一つひとつに「このやり方でいいのかな」と疑問や遠慮を感じるケースも少なくなかった。そのため、受け入れ施設の主任保育士らに都度確認を取るなど保育実践のすり合わせ、調整に負担が生じた。

 國井会長は「保育の文化が違う施設で共同保育を行えば、課題は当然出る。ただ、参加施設の知見を生かし、皆で学び合い、よりよい保育実践を磨き上げるための絶好の機会にもなる。実施施設が少しでも増えるよう、ノウハウや留意点を会員施設に周知していきたい」と述べた。

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