国際園芸博来場者に「シードペーパー」 鎌倉の障害者施設が協力
2026年07月10日 福祉新聞編集部
2027年3月19日開幕の「国際園芸博覧会」(横浜市)で、「シードペーパー」(花の咲く紙)が来場者に配られる。その制作過程に知的障害のある人たちが関わり、仕上げを急いでいる。イベント会場での事前配布も始まり、8月からは咲いた花の写真投稿を受け付ける。集まった写真を「きぼうの樹」として会場内のスクリーンに投影する企画が動き出す。
シードペーパーとは古紙を再生してカモミールなど花のタネをすき込んだもの。春か秋に水に浸して土に埋め、水をやれば花が咲く。古紙は土に還るため、環境配慮型の素材として名刺や絵はがきなどに使われている。
大量生産に向かない
発祥は米国で、日本では20年に(有)スープ(野口世津子取締役、神奈川県鎌倉市)が商標登録した。野口氏は「制作はすべて手作業なので大量生産には向かない。障害者はじっくり丁寧にやってくれるので親和性が高い」と話す。
27年9月26日までの園芸博の来場見込みは1000万人で、そのうちシードぺーパーを配るテーマ館は200万人。大量生産が求められ、体制を整える必要に迫られた。
鎌倉の13事業所で作業
そこで野口氏が鎌倉市に相談した結果、主に知的障害者が通う虹の子作業所(山口礼子所長)や生活介護事業所「鎌倉薫風」など、市内13の障害福祉事業所がシードペーパーを台紙にはさむ作業を4月から始めた。
園芸博ではシードペーパーを持ち帰った人が育てた花の写真を募る。主催者は投稿された写真を集め、シンボルツリー「きぼうの樹」として会場内のスクリーンに投影する。
「投稿写真が多いほど豊かな樹が育ちます」「何万人もの『わたし』が花を育てると、地球の環境が変わります」と呼び掛け、参加型の万博にしようという企画だ。
シードペーパーの事前配布も5月、横浜市内でのイベントで始まった。写真の投稿は8月から受け付けを始め、開幕当初から「きぼうの樹」を映し出せるよう準備を進める。

事前配布の始まったイベント会場=5月2日
資源循環と共生社会
主催の公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会展示課の小川知洋課長はシードペーパーを企画に採用した理由について「古紙再生が園芸博の目指す循環型社会に合致し、障害のある人が制作する点は共生社会に沿っている」と話している。

