空白生まぬ市民後見人 単身高齢者を定期訪問〈神奈川・横須賀市〉

2026年0628 福祉新聞編集部
飼い猫の写真を森田さん(左)に見せるKさん

 頼れる身寄りのいない高齢者の最期を支える神奈川県横須賀市の「エンディングプラン・サポート事業(ES事業)――。2015年度開始のこの事業に登録した高齢者への定期訪問の一部を市民後見人が担い始めた。市民後見人は継ぎ目がないという意味で「シームレス支援員」と呼ばれる。背景には、今の国会で成立した成年後見制度改革がある。

娘に心配かけたくない

 「マイちゃんが死んだの」――。一人暮らしのKさん(81)は3月に亡くなった飼い猫の遺影を森田静さんに見せた。森田さんは定期訪問するシームレス支援員。Kさんは「何でも話せる相手」と信頼を寄せる。

 夫と離婚したKさんには娘がいるが、結婚して遠方で暮らす。家庭内のことでたくさん心配をかけてきた負い目もあり「娘にはこれ以上心配かけたくない」と漏らす。マイちゃんが亡くなり、いよいよ一人になった。

 市はKさんのように、頼りたいと思える身寄りのいない人が登録者のほとんどだとし、今後も増えるとみる。

 森田さんは市社会福祉協議会主催の市民後見人養成講座の修了生59人(今年4月現在)の一人だ。普段は介護福祉士として施設で働く。過去に後見人を受任したこともある。

シームレス支援員

 しかし、Kさんには「市民」として関わる。将来、Kさんに後見人が必要となれば、家庭裁判所が選任する後見人の候補として市が森田さんを推薦する。
 「シームレス」と呼ぶ理由はここにある。

 一般的に親族以外の後見人を探すには時間がかかる。適任者が見つかっても本人の考え方や生活習慣を知るにはやはり時間がかかる。

 そんな「空白」を生じさせないのがシームレス支援だ。死後のプラン作成と生前の定期訪問が肝のES事業だが、登録者の増加により市職員は手いっぱいに。そこで市は市民後見人に着目した。

後見制度改革を見越す

 今国会で成立した改正民法による新しい成年後見制度は、必要な時に必要な範囲で本人を支える「オーダーメード型」を目指している。利用者の家族や支援者は、制度利用の前と後を意識せざるを得ない。

 シームレス支援はそうした改革を見越して25年4月、森田さんを含む10人で開始した。1人がES登録者4人を担当し、3~4カ月ごとに様子を伺って、市に報告票を提出する。交通費など実費は支払われるボランティアだ。

意思のバトンリレー

 頼れる身寄りのない高齢者の財産や権利を守り、最期を見届けるには、本人の意思を複数の人がバトンリレーして尊重することが欠かせない。その仕組みづくりは、それぞれの地域の今後の課題になる。

 横須賀市のような取り組みは、自治体の負担が重いと思われがちだが、ES事業もシームレス支援も、生活困窮者自立支援法の相談事業の一部で、国費も入っている。

 市の特別福祉専門官の北見万幸さんは「これまで福祉は周没期の相談に応じてこなかった。引き取り手のない遺骨をみれば、生前に何をすべきか分かる」と話している。

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