両親が亡くなった重症心身障害の双子姉妹 自宅が障害者グループホームに(神奈川)
2026年03月20日 福祉新聞編集部
重症心身障害のある双子の姉妹(24、神奈川県小田原市)が施設暮らしを経て市内の自宅に戻った。久しぶりの自宅は定員4人のグループホーム(GH)に変わり、NPO法人おだわら虹の会(髙橋直美理事長)が運営。自宅が共同生活の場になった今、新生活を楽しんでいる。
寺島歩さん(姉)と和さん(妹)はいずれも車いすを使う重度障害者。2020年7月、一緒に暮らしていた母が急逝した。父はすでに他界しており、2人は別々の施設で暮らすことになった。
「家に帰りたい」叔父が2人を尊重
母方の叔父は2人が自宅での暮らしを望んでいることを踏まえ、改装してGHにすることを決断。2人の後見人となって運営先を探し、22年4月に、おだわら虹の会が事業所指定を受けた。
歩さんがGHに入居したのは23年8月。重症心身障害児(者)施設太陽の門福祉医療センター(小田原市)で暮らす和さんは受け入れ体制を整えるのに時間がかかり、25年10月に入居した。
現在、姉妹は平日の昼間はそれぞれ別の生活介護事業所に通い、平日の朝夕と土日はヘルパーさんに来てもらう。音楽とおしゃべりが大好きな2人は近くのショッピングセンターで買い物するのが楽しみだ。
太陽の門から初の移行
02年開設の太陽の門にとって、入所者がGHに移るのは初めて。調整に当たった主任相談支援専門員の黒田彩さんは「すべてが手探りだった」と話す。
和さんがベッドに移る際の介護リフトの購入、GHに支払う家賃には補助の仕組みがある。しかし、施設から移る重症心身障害者という前例がないため、スムーズにはいかなかったという。
「移乗」を映像で伝達
GH側の不安を減らそうと、施設の理学療法士がリフトの使い方を実演してみせたり映像で伝えたりもしたが、それでも職員体制を整えるGH側の負担は小さくない。
例えば、外部のヘルパーを受け入れると、その分収入が減る。そんな仕組みが施設から地域に移行する際のネックの一つだと虹の会常務理事の小杉典弘さんはみる。
「ただでさえGH単体では採算がとりにくいし、法人内でも受け入れ反対の意見はあった。それでも2人が暮らしを楽しんでくれるならばと歯を食いしばっている」と話す。
居場所を一緒につくる
そんな小杉さんがGHに顔を見せると「苦労してるね」と笑う和さん。苦笑する小杉さんは胸の中でこうつぶやく。
「細かな点では2人も我慢しているとは思う。でも、居場所は与えられるものではなく、自分たちで一緒につくるもの」――。自分や職員にもそう言い聞かせている。

