認知症基本計画と地域づくり〈コラム一草一味〉
2026年03月14日 福祉新聞編集部
蒲原基道 日本社会事業大学 社会福祉研修センター 客員教授
2024年12月に、共生社会実現のための認知症基本法に基づく基本計画が閣議決定された。ここでは計画における、基本的施策の並べ方に注目したい。国民の理解の推進や、意思決定支援が重要なことは当然であるが、保健医療、福祉サービスの充実が第5番の柱にあり、その前の柱として、生活のためのバリアフリー化や社会参加機会の確保が入っている。行政側に立つと、ついつい保健医療や介護といった公的サービス中心に考えて行きがちだが、ここでは、この順番となっている。
こうした柱の建て方は、「生活や暮らしの継続性」という観点から大変重要なことだと考える。例えば、認知症になる前から、公園で余暇を過ごす、スーパーで買い物をする、レストランで食事をするなど、さまざまな日々の暮らしを送っている。これらを含む地域のさまざまなリソースについて、ハード、ソフト両面においてバリアフリー化することで、仮にMCI(軽度認知障害)や認知症になっても、引き続き、その人らしい暮らしを継続できるようになるからである。
こうした建て方となった背景には、この法案をまとめていく際に、徹底的に認知症当事者の声を大事にした点があると考えられる。当事者が暮らしやすい社会の在り方を、当事者とともに考えていく中で、まとめられたからであろう。
この考え方は、何も認知症施策に限られるものではない。広く、高齢者支援施策全体もそうである。昨年度、行われた介護保険の地域支援事業の見直しにおいても、「元気」から「フレイル~要支援」、さらには「要介護や認知症」へ状態像が変化する中での、趣味、買い物、就労などを支える「地域づくり」が重要とされている。
また、障害分野において、さまざまな「合理的配慮」を求める考え方も同様であろう。
こうして考えると、高齢者、障害者を含めすべての人について「当事者の声」を大事にしつつ、暮らしの継続のための「地域づくり」が求められるという基本ラインが見えてくる。

