共同親権対応事例の共有を〈コラム一草一味〉
2026年04月04日 福祉新聞編集部
新島学園短期大学 教授 草間吉夫
2024年、厚生労働省が、同年の離婚件数が18万5895件だったと公表した。離婚件数は02年の約29万件をピークに、それ以降は減少が続いている。
離婚は毎日、日本のどこかで成立している。こどもは、父母どちらかと暮らすことを余儀なくされ、こどもの成長や福祉に負の影響を少なからず及ぼすことは論をまたない。24年5月、離婚後もこどもの利益を確保するため、父母双方に共同で親権を認める民法改正が成立し、4月より施行された。
しかし、施行後の懸念材料は、決して少なくない。例えば、親の同意を取るための手続きが増えることである。進学先や就職先など人生の大事な選択を決める際、双方の同意を取り付けなければならないことだ。慎重な対応が求められ精神的な負担や業務量が増える。双方の同意が得られない場合、学校が訴えられるリスクが生じる。
筆者がかつて勤務した児童養護施設も同様の対応に加え、一番懸念しているのは入退所時に双方の同意が求められるため、現場は戦々恐々としている。また医療機関では、治療方針をめぐって双方の意見に大きな相違が生じた場合、訴訟リスクが起きてしまうことは容易に想像がつく。このように、教育機関をはじめ福祉施設や医療機関など広範囲にわたる分野で、法的闘争に巻き込まれる可能性が大きい。当該機関は、ガイドラインやマニュアル、あるいは対応策を強く求めているのが本音であろう。
まず、こどものよりよい成長(ウエルビーイング)が図られる環境の保障を第一に考えることが重要である。その実現のため、厚労省、法務省、文部科学省など関係省庁が連携して、対応例の収集と蓄積を行うことに加え、対応の是非を検証したエビデンスをデータベース化しておくことが求められる。次に、国と当該機関がデータを共有することが重要である。
これらを講じることにより、当該機関において、より望ましい対応がなされることが確実に見込まれる。対応に当たる当該者の精神的および業務量の負担が、明らかに減少することに期待が持てる。国には、こどものウエルビーイングと当該機関を守るための負担軽減策が強く求められる。

