〈論説〉給付付き税控除 何を目指しどう設計?

2026年0221 福祉新聞編集部

 「給付付き税額控除(減税)」とは何か。総選挙後の最重要な政策課題だが、何を目指し、いかに設計、どんな効果があるのか。

 一律の減税(税額控除)は、納税ゼロや少額の人には恩恵が薄い。10万円の給付付き減税であれば、納税ゼロの人には10万円がそっくり給付される。納税5万円は税負担がゼロのうえ減税できなかった差額5万円が給付される。

 低・中所得層に所得を再配分できる。低所得ほど収入に占める負担率が高い消費税の逆進性を緩和する。働いて所得が増えるにつれ税や社会保険料が重くなる「貧困の足かせ」から抜け出す就労促進策で、本物の手取り増になる。

 目的や力点は国により異なるが、欧米主要国で普及した。米国では共和党政権で導入、民主党のクリントン政権で拡充された。英国では労働党のブレア政権で創設、保守党時代に大改造された。

 英国の制度は「ユニバーサル・クレジット」と呼ばれ、子育て減税、住宅手当、雇用支援給付など6種類の給付を統合、減税との二本立ても改め、給付一本で毎月支給される。受給資格は18歳~年金受給前まで。世帯収入は一定額以下、世帯資産1万6000ポンド以下(約340万円)、失業者は求職活動・研修などを続けないと給付停止。

 この税制の創設を20年来提唱する大蔵省出身の研究者、森信茂樹氏は、現役世代に絞り、低所得者の勤労意欲を引き出す英国型が参考になると強調した(日本記者クラブ会見=昨年11月18日)。
 「日本では、どの程度のレベルで発足すべきか」と筆者が問うと、「年収200万円前後の非正規労働者らに毎月2万~3万円を給付し、最低賃金でフルタイム稼働の年収300万~400万円辺りで給付を止める。そんなレベルで小さく産み大きく育てたい」と答えてくれた。

 難しいのは、制度の実現には、所得や金融資産の正確な把握が不可欠になること。英国では企業が全従業員の月給・源泉徴収税・社会保険料などを歳入庁に報告、雇用年金省で共有され毎月の給付額に反映される。自営業者らは自ら毎月の所得・納税額などを雇用年金省へ報告、審査を受けて給付に反映される。

 森信氏は、国税担当の国税庁と地方税を担う地方自治体との情報連携、マイナンバーにひも付けの情報ネットワーク構築などで「すでに基盤は整いつつある。首相官邸の指導力で縦割り行政を乗り越えれば実現できる」と力説した。

 実施へ3~5カ年計画になり、給付の財源をいかに確保するか。制度の設計次第ではあるが、年1兆円近くになるだろう。

 史上最強の高市早苗政権が消費税見直しと財源探しに次いで、この難問に踏み込むのを期待したい。

みやたけ・ごう 毎日新聞論説副委員長から埼玉県立大、目白大大学院の教授などを経て現職

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