受講者の多様化に対応 障害者職業訓練検討会が報告書案〈厚労省〉

2025年0618 福祉新聞編集部

厚生労働省は9日に開いた検討会に、職業能力開発施設における障害者職業訓練の在り方について報告書案を示した。精神、発達障害者など受講者が多様化していることを踏まえた訓練科目の内容、方法の見直し、地域関係者と連携した障害者職業能力開発校の充実、受講者の就職、定着支援の強化に向けた対応策を盛り込んだ。

障害者が就労に必要なスキルを身に付ける職業訓練には、(1)障害者職業能力開発校(全19校)(2)一般の職業能力開発校における訓練コース(3)都道府県の委託団体による訓練コースがある。全受講者(在職者訓練除く)は2010年度に約9000人いたが、23年度は4588人と半減した。職業訓練を受けずに就職する障害者の増加や、求職する障害者のニーズの変化などが要因とされる。

こうした状況に対応した効果的な障害者職業訓練とするため、検討会で1月から議論を重ねてきた。具体策として、訓練コースの設置、運営をサポートする高齢・障害・求職者雇用支援機構の事業を活用して訓練科目の設置を進める。障害特性にきめ細かく対応している好事例を収集して周知する。障害者職業能力開発校指導員の配置基準の見直しや、オンライン職業訓練の拡充に向けた検討も行う。

また、10月に障害福祉の新サービス「就労選択支援」が始まるのを機に、職業訓練を活用する流れを確立する。一般の職業能力開発校への専門家の配置も進める。ハローワークとの連携強化や、職業訓練の成果を把握、分析して改善につなげる仕組みの構築も目指す。

厚労省は検討会委員の意見を踏まえて修正後、6月中に報告書を公表予定。26年度から始まる「第12次職業能力開発基本計画」に反映させる。

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