手話でデフスポーツを生中継 当事者が番組作りに参加(ろうあ連盟)

2024年0924 福祉新聞編集部
手話言語によるデフスポーツの生中継は日本初

一般財団法人全日本ろうあ連盟は15日、日本初となる手話言語によるデフスポーツ生中継を実施した。当事者である聴覚障害者がアナウンサーや解説などを務めた。

群馬県内で開かれた「第58回全国ろうあ者体育大会」のうち、世界大会やデフリンピックでも好成績を残している女子バレーボールの試合を、県庁(前橋市)にあるスタジオからユーチューブで生中継した。卓球とサッカーの試合は録画中継で放送した。

試合の得点経過や選手の動きなど、一般的なスポーツ中継では音声で表現するものを手話に置き換えた。また、障害のない人でも楽しめるよう、手話を音声に変換するなど工夫を凝らした。

アナウンサーや解説者は、手話言語アナウンサー、同解説者、同通訳者養成研修を修了した当事者だ。特に、解説の信田光宣さんは、デフバレー選手だったことを生かし「今までレフトサイドから攻めていましたが、意表をついてライトサイドからの攻撃に切り替えました」といった専門的で分かりやすい説明を随所に入れていた。

試合会場にも養成研修を修了した当事者がおり、セット間の休憩時間に試合の流れを説明したり、試合終了後には監督、選手にインタビューしたりと一般的なスポーツ中継に引けを取らない内容となった。

ろうあ連盟の山根昭治理事・本部事務所長は手話で「2025年のデフリンピック開催に向け、障害の有無に関係なく楽しめるスポーツ中継づくりを進め、デフリンピックの知名度向上にも貢献したい」としている。