認知症の将来推計が大幅低下 2040年、65歳以上で584万人

2024年0514 福祉新聞編集部

政府の認知症施策推進関係者会議が8日に開かれ、認知症と軽度認知障害(MCI)の有病率の将来推計が報告された=表。2040年時点で65歳以上の認知症患者数は584万人で、約7人に1人の割合となる。調査内容が全く同じではないが、前回調査(14年度厚生労働省研究事業)からは約218万人も減った。認知症の有病率も22年は12・3%で、12年の厚労省報告(15%)より低下した。

厚労省の研究事業として将来推計を行った二宮利治・九州大大学院教授は「生活習慣病の改善、健康意識の変化などにより認知機能低下の進行が抑えられ、認知症の有病率が下がった」と推察している。

将来推計は22~23年度に4地域(福岡県久山町、島根県海士町など)の65歳以上の計7143人を対象に悉皆しっかい(全数)調査を行い、専門医の診断も踏まえた結果をもとに算出した。各地域の健康づくりの取り組みなどは反映されていない。

認知症の有病率は年齢が上がるほど高い。65~69歳は1・1%だが、80~84歳は16・6%、90歳以上は50・3%と半数を超えた。男性より女性の方が高い傾向にあった。

MCIの22年の有病率は15・5%。年齢別にみると65~69歳は6・9%▽80~84歳は22・6%▽90歳以上は21・2%だった。90歳以上が比較的低いのは症状が進行して認知症と診断されたためとみられる。

認知症患者数などの将来推計が減少したことについて厚労省は「健康づくりなどは本人の努力によるが、今後、高齢化が進む中で認知症は誰もがなり得ることに変わりはない。認知症になっても暮らしやすい社会をつくることが大事」としている。