少子化対策支援金制度、衆院で審議入り 財源への質問相次ぐ

2024年0414 福祉新聞編集部

異次元の少子化対策に関する「子ども・子育て支援法」などの改正案が2日、衆議院で審議入りした。議員からは「子ども子育て支援金は目的外使用ではないか」などと財源に関する質問が相次いだ。

 

同法案は、児童手当の拡充や育児給付の引き上げなどが柱。財源として、公的医療保険に上乗せして徴収する支援金制度も創設する。2026年度の負担額について政府は、こどもも含め1人当たり月450円などとする試算を公表している。

 

同日の衆院本会議で田中英之・自民党議員は「なぜ医療保険制度から拠出するのか。国民の理解が進んでいるとは言い難い」と指摘した。

 

これに対し、加藤鮎子こども政策担当大臣は「ほかの社会保険制度に比べ賦課対象者が広く、幅広い給付体系だ。世代を超えた支え合いの仕組みでもある」と回答。人口減少を止めることは医療保険の持続可能性を高めると強調した。

 

岡本あき子・立憲民主党議員も「こども施策が前に進むのは評価するが、財源はさまざまなごまかしがあり、到底納得できない」と強調。「健康保険法では法律の給付対象に、子育ては入っていない。目的外使用では」と疑問を呈した。

 

岸田文雄首相は「医療保険の存立基盤に重要な受益となり、目的外使用との指摘には当たらない」と答弁。現行制度でも出産育児一時金や介護納付金などに充てている例があると説明した。

 

一方、一谷勇一郎・日本維新の会議員は、12年のいわゆる「3党合意」で、こども子育て政策の拡充に向けた財源が消費税だったことを紹介し「自民と公明は政策転換したのか」と質問。岸田首相は「社会経済情勢を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべき」と明言を避けた。

特別委でも議論

支援金制度については、3日に開かれた特別委員会でも議論が交わされた。

 

個人の給与明細に支援金の負担額が記載されるのか問われた加藤大臣は「健康保険法上、事業主は保険料の控除額を被保険者に通知しなければならないが、内訳をどこまで示すかは義務付けられていない」と説明した。しかし拠出の趣旨を知るのは重要として、表示に向けた必要な取り組みを進めるとの考えを示した。

 

また、別の議員から異次元の少子化対策で出生率の目標値を掲げない理由を問われると、加藤大臣は「結婚や妊娠などは個人の自由な意思決定に基づくものなので、特定の価値観を押し付けることはあってはならない」と語った。