強度行動障害の短時間介護を評価 厚労省が報酬改定で検討

2023年1004 福祉新聞編集部

厚生労働省は2024年度の障害報酬改定に関連し、自傷他害行為といった「強度行動障害」に適切に対応できるよう、訪問系サービスの報酬を見直す方針を固めた。重度の知的障害児・者の移動に付き添って介護する「行動援護」は、短時間(1時間半まで)の支援ニーズが大きいとみて報酬を上げる。

 

現在は30分刻みで報酬が設定され、1時間半までの報酬は低い。一方、利用件数は1時間半までが多い。

 

また、行動援護を行う事業所のうち、専門人材を配置することなどを評価する「特定事業所加算」の算定要件には、医療・教育分野の関係機関と連携することを加える。

 

いずれも9月19日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」で明らかにし、「大筋で賛同いただいた」(障害福祉課)とみて年末に向けて詳細を詰める。

 

強度行動障害への対応は24年度改定の重要課題で、幼児期から大人になるまで複数の事業所が連携する体制づくりを促す。とりわけ行動援護は重要視されるが、事業所数は2072カ所、利用者数は1万4005人(いずれも23年4月)で他の訪問系サービスと比べて少ない。

 

訪問と通所を組み合わせる「重度障害者等包括支援」も事業所数が10カ所、利用者数が45人(いずれも23年4月)と少ないが、強度行動障害への対応に有効なサービスだとしてテコ入れする。所定の要件を満たす人材による支援や、複数事業所による連携した支援を報酬で高く評価する。

入院中の重度訪問介護対象者の区分を拡大

強度行動障害のある人を含む「重度訪問介護」の利用者が入院した場合、ヘルパーが入院先で付き添うことも拡充する。現在は最重度の「障害支援区分6」の人にだけ付き添いを認めているが、今後は区分5と4の人も対象とする。

 

重度訪問介護の利用者が入院する前に、ヘルパーがそのコミュニケーションの特性やこだわりなどを、病院職員に伝達するといった事前調整をすることについても、報酬で評価する方針だ。

 

重度訪問介護の事業所数は7527カ所、利用者は1万2458人で横ばいが続く。