京都市の救護施設計画が再び白紙 事業者が資材価格高騰などで辞退

2023年0726 福祉新聞編集部

 京都市は7月12日、伏見区内で計画していた救護施設について、運営を予定していた社会福祉法人大阪自彊館から辞退する届け出が4日付であり、これを受理したことを明らかにした。事業者が辞退するのは2度目となり、計画が再び白紙に戻ったことになる。

 

 届け出によると、整備に必要な資材価格の高騰に加え、建築会社が確保できず整備の目途が立たなくなったこと、事業計画が遅れたことで法人が計画していた他の整備事業と重複し、財政状況から整備困難と判断したこと、施設運営までに人材確保が難しいことを理由に挙げている。

 

 これを受けて市は、救護施設が「日常生活を営むことが困難な人の自立を支援するために必要な施設である認識に変わりない」とした上で、今後公募条件や代替策などの対応を検討していくとしている。

 

 同市は、政令指定都市の中でも救護施設の設置がない自治体の一つ。生活保護法に基づく施設として市内に更生施設1カ所を持っていたが、老朽化に加えてバリアフリー化も十分ではなかったことから2022年3月31日で事業終了し、救護施設の新設計画を進めていた。

 

 1度目の公募があったのは18年3月で、同年8月には事業者として社会福祉法人みなと寮(大阪府)を選定。ところが、計画地に隣接する向日市側への住民説明会が、事業者選定から3カ月以上たってから行われるなど、行政側の対応の不手際から周辺住民の不信感が蓄積。その後も両者の溝は埋まらず、20年2月に事業者選定の結果を取り消した。

 

 その後行われた2度目の公募では事業者が手を挙げず、21年11月、3度目の公募で、事業者に土地を用意させるのではなく、市有地を貸し付けるなど条件を緩和した結果、大阪自彊館が事業者に決定していた。

 

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