旧優生保護法の強制不妊で国会報告書 障害者団体も調査対象

2023年0705 福祉新聞編集部

 旧優生保護法(1948~96年)に基づき障害者らが不妊手術を強いられた問題で、衆参両院の調査室が初めてまとめた報告書が6月19日、両院議長に提出された。報告書には不妊手術を受けた本人へのアンケートの結果や、福祉施設、障害者関連団体に対する調査の結果も収めた。報告書は約1400ページで、両院のホームページに掲載されている。

 

 福祉施設への調査には、51施設が手術の個人記録を保有していると回答。そのうち39施設の保有する資料が調査室に提供され、施設や家族が手術に関与した事例の概要が報告書に収められた。

 

 障害者関連団体への調査は計14団体を対象に行い、全団体が回答。全国手をつなぐ育成会連合会は、優生手術をテーマに糸賀一雄・近江学園長(滋賀県)らが議論した1956年7月の座談会のコピーを提供した。

当事者40人も回答

 手術を受けた当事者へのアンケートは2022年8月から今年2月末まで14の障害者関連団体を通じて実施。40人が回答(家族らの代筆含む)し、そのうち35人が全日本ろうあ連盟を経由した聴覚障害者だった。

 

 こどもを産めなくする手術だと知らされずに受けた人が27人で、「両親に言われるがまま受けた」「盲腸の手術だと思っていた」といった回答があった。

福祉施設の入所要件も

 今回の調査は、19年4月に議員立法で成立した救済法に基づくもの。両院の調査室が3年がかりで資料収集した。

 

 厚生労働省の資料では手術の件数が2万4993件だが、自治体に残る手術記録は6550件。障害者が福祉施設に入所する際の条件として手術した例が記録されている。

 

 手術した背景としては「産んでも育てられない」「病気や障害が遺伝するおそれ」「性被害に遭うおそれ」といった記述がある。報告書には、全日本ろうあ連盟、全国手をつなぐ育成会連合会、日本視覚障害者団体連合がそれぞれ独自に検証した結果も収めた。

 

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