「精神科医療の身体拘束なくしたい」 大畠さん遺族が会見
2023年06月22日 福祉新聞編集部精神科医療における患者の身体拘束をめぐり、拘束により死亡した統合失調症の大畠一也さん(当時40)の遺族が6月9日、記者会見した。一也さんの父・正晴さん(72、石川県)は「一也に行われたような拘束を撲滅してほしい」と訴えた。
会見の背景には、患者の拘束を例外的に認める要件を定めた厚生労働大臣告示がこの夏にも改正されることがある。厚労省の研究事業(非公開)による今年3月の検討報告を読み解くと、「今までよりも拘束をしやすくなる」(長谷川利夫・杏林大教授)との疑念が持たれている。
厚労省は正式な改正案を示していないが、不安を抱いた正晴さんはこの告示改正をやめるよう加藤勝信・厚労大臣宛の要請文に盛り込んだ。
告示改正する方針は隔離や拘束をより限定的に行う手段の一つとして2022年6月の厚労省検討会報告に盛り込まれ、国会の付帯決議も早期に告示改正すること、拘束をより限定的にすることを政府に求めた。精神障害の当事者団体の間でも改正を望む声がある。
大畠さんは16年12月、石川県内の精神科病院に入院。注射を嫌って抵抗したことが暴力だとして6日間拘束され、その解除後に肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)で亡くなった。
遺族が病院側を相手取って起こした裁判では、2審の名古屋高裁が大畠さんへの拘束を違法だとする判決を下し、最高裁は21年10月、2審判決を支持して判決が確定した。