<東日本大震災>痛み分かち合う15年 被災者に寄り添った生活支援相談員に区切り #知り続ける
2026年03月10日 福祉新聞編集部
東日本大震災後、岩手県社会福祉協議会は市町村社協に生活支援相談員を配置し、被災した住民に寄り添う活動を続けている。自宅への定期訪問に加え、住民同士の新たなつながりづくりにも取り組んだ。痛みを分かち合える存在は、孤立を防ぐ大きな役割を果たしてきた。ただ、復興の総仕上げとして国の第2期復興・創生期間の終了に伴い、この3月で区切りを迎える。
生活支援相談員は被災者の生活課題を把握し、必要なサービスや活動につなげるのが大きな役割だ。発災直後は避難所や仮設住宅を全戸訪問してニーズを調査。その後も定期的な訪問を続け、必要に応じて行政や地域包括支援センターなど関係機関につないできた。
同時に、新たな環境の中で住民同士が支え合える地域づくりにも力を入れた。定期的に住民が集うサロンやイベントを開催し、互いに気に掛け合う関係を後押しした。約50世帯単位で気になる人や住民の関わりなどを書き込む「支え合いマップ」も作成した。
多くが未経験者
岩手県では2011年8月から県社協が実施主体となり、16市町村社協に委託する形で事業を開始。津波被害を受けた沿岸部だけでなく、内陸へ避難した住民に対応するため花巻市や北上市などにも生活支援相談員を配置し、初年度は計179人に上った。
ただ採用した生活支援相談員は震災で職を失った人や災害ボランティアがきっかけの人など、背景はさまざま。6割以上が相談業務未経験者だった。
そのため、神奈川県立保健福祉大の山崎美貴子学長(当時)に研修を要請した。事例検討を重ねながら、臨機応変に対応する力や社会資源の開発手法などを学んだという。
支援数10分の1に
支援対象は11年度の1万9042世帯から年々減少。24年度は1500世帯で、うち9割が高齢者世帯だった。相談内容も以前は日常生活関連が多かったが、現在は健康や家族に関する相談が相対的に増えた。
支援対象の減少に伴い、生活支援相談員の配置数も減り、24年度は7市町村社協に44人となった。訪問や電話などの支援回数も、かつて年30万回以上だったが、今では10分の1以下となっている。
岩手県社協は「住民と地域を一体的に支援してきた生活支援相談員は、痛みや喜びを分かち合える貴重な存在で、被災地域の復興に一定の役割を果たしたのではないか」と振り返る。
今後は市町村が厚生労働省や総務省などの事業を活用して一部を引き継ぐものの、これまでと同様の関わり方は難しくなる。岩手県社協は「引き続き見守りが必要な世帯もあり、支援体制の再構築が必要だ。地域に張り巡らされた支援の網の目がほどけないか、市町村行政の力が試される」と話している。
振り返り動画公開
大震災から15年を迎えるのに合わせ、岩手県社協は27日まで、生活支援相談員の活動を振り返る動画を無料公開している。養成研修を担った全社協中央福祉学院の山下興一郎主任教授がコーディネーターを務め、陸前高田市、釜石市、大槌町など6市町社協の担当者が、成果と課題などを語るパネルディスカッションもある。詳細については岩手県社協のウェブサイトに掲載されている。

