eスポーツが認知症予防に効果 仙台市などが実証実験

2023年0120 福祉新聞編集部
ドライブのeスポーツを楽しむ参加者

 eスポーツは高齢者のフレイル(加齢により心身が衰えていく状態)や認知症の予防に効果があるのか。産官学連携で行った実証実験の結果が12月21日に報告された。成果として社会的フレイルが改善する傾向がみられ、注意分割機能(複数のことを注意しながら同時に行う)も向上したことが分かった。

 

 実施したのは仙台市、東北福祉大、仙台eスポーツ協会、NTT東日本の4者。60代以上の男女21人に4~9月に計7回会場に来てドライブ、パズル、格闘のeスポーツを体験してもらい、認知機能検査や体力テストなどをして状態の変化を調べた。

 

 身体機能は顕著な変化はなかったが、フレイル状態からの改善、特に社会的フレイルは改善する傾向がみられた。参加者の感想から、老人福祉センターなど人が集まる場所で、友人、知人と関わりながらeスポーツを楽しみたいと考えていることも分かった。

 

 また、認知機能検査では、注意分割機能が統計学的にみても向上することが判明した。eスポーツはさまざまな状況を判断しながら行うためとみられる。

 

 一方、デジタルデバイド(情報格差)解消に向けて、会場でタブレットを使ってオセロやナンプレなどのゲームアプリ、QRコードの読み取りなどを体験してもらった。

 

 その結果、苦手意識が減り、他の機能や新しい使い方に興味を持つ人が増えた。また、実証実験が外出の機会となり、交流にもつながっていることから、デジタル機器に触れる機会をつくることが重要だと分かった。

 

 仙台市は「デジタル機器を使って生活の利便性を感じられる体験の場を提供していきたい」としている。

 

福祉新聞の購読はこちら