利用者負担2割の対象を拡大 24年度実施見込み〈社保審介護保険部会〉
2022年12月07日 福祉新聞編集部厚生労働省は11月28日の「社会保障審議会介護保険部会」に、介護保険の利用者負担2割の対象者を拡大する意向を示した。第9期介護保険事業計画期間が始まる2024年度に実施することが見込まれる。
現行では利用者負担は原則1割(全体の91%)で、2割負担は単身世帯の場合で年収280万円以上などとなっており、所得でみると利用者の上位20%相当となっている。
一方、10月から後期高齢者医療の窓口負担は、所得が上位30%相当の人は2割に引き上げられたため、厚労省は両者の整合性を図りつつ、詳細を調整していく。特に介護は医療に比べて長期間必要とするなどの違いがあることに配慮する。
また、65歳以上の1号介護保険料は所得に応じて標準で9段階の保険料を設定できることになっているが、9段階をさらに拡大するなどの見直しを行う方針も示した。
標準所得段階は00年4月の制度創設時は5段階で、15年4月に9段階に見直された。5段階目(世帯に課税者がいて本人が市町村民税非課税、収入80万円超)を保険料基準額としている。
現在、標準の9段階の設定をしている自治体は48%(751)。半数超(820)は10段階以上で、最高で25段階の自治体もある。厚労省は段階をさらに多くすることで、一定以上の所得のある人の負担は増やし、所得の低い人の負担は減らせるようにする。
老人保健施設などの多床室の室料負担についても、導入を視野に入れた検討を行う。現行で室料負担のある特別養護老人ホームは「生活の場」だが、老健などは「療養の場」で施設の機能が違うことから導入に反対する意見もあり、どのような整理ができるか詰めていく。
要介護1・2の移行は見送りへ
そのほか要介護1、2の生活援助サービスなどの地域支援事業への移行、ケアマネジメントの利用者負担導入も論点となったが、議論は平行線のままで進展は見られなかった。
また、被保険者範囲を40歳以下に拡大すること、居住費・食費の補足給付における正確な資産把握を行うことは、引き続き検討することが妥当だとし、次の法改正では見送られる見込みだ。
部会は年内に報告書を取りまとめることになっており、議論は大詰めを迎えている。