地域で唯一のこども食堂「なごみカフェしなね」 特養が高知市社協と連携

2022年1108 福祉新聞編集部
カレーを食べるこどもたち=ウエルプラザ高知提供

 高知市の特別養護老人ホーム「ウエルプラザ高知」(社会福祉法人土佐香美福祉会)は昨夏から、地域貢献の一環として月1回、こども食堂を開催している。ノウハウや知識がない中、高知市社会福祉協議会と連携することで開設にこぎつけた経緯があり、地域で唯一のこども食堂としてこどもらに笑顔を届けている。

 

 こども食堂は「なごみカフェしなね」と銘打ち、施設内で毎月第3土曜日、ランチ(カレーやサラダ、デザート)を提供。コロナ禍を踏まえ、弁当のテイクアウトに切り替えるなど、これまでに16回開催している。

 

 こども(中学生以下)と75歳以上は無料で1回平均30人、多い時は50人以上が集まる。運営資金や食材は県の補助金、市場からの野菜の寄付で賄う。調理や片付け、見守りは施設職員と地元ボランティア団体「土佐いっく成年団」が担う。食後はこどもと一緒に遊んだり、元塾講師の介護職員が勉強を教えたりして過ごしている。

 

 「施設単独で実施するには限界があった。社協と連携することで実現できた」――。統括主任の藤山輝さんはこう振り返る。

 

 ウエルプラザ高知がある一宮地区では、生活困窮に対する相談件数が多い反面、こども食堂が1カ所もないことが取り組むきっかけになった。

 

 ただ、土佐香美福祉会は介護施設を運営する法人で児童福祉に専門性を持つ職員はおらず、子育てやこどもの貧困に関する支援団体とのつながりもなく、立ち上げに向けては課題が山積する状況だった。

 

 こうした課題を打開するために着目したのが、地域資源や福祉関連団体とのつながりを持つ高知市社協との連携だった。

 

 市社協から▽市内こども食堂の見学同行▽食材支援グループへのつなぎ▽地元小学校、スーパーへの広報▽補助金申請に必要な意見書の作成――などの支援を受け、昨年8月に開催に至った。開設後も軌道に乗るまでは社協職員が運営に参加するなどしてサポートを続けた。

 

 今後の展開について、藤山さんは「スクールソーシャルワーカーと連携して、生活困窮世帯に弁当を届けるなどアウトリーチ型支援も模索したい」と意気込んでいる。

 

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